ニュートラルをキープするスプリングの力を使う
さて、力を抜いてシフトチェンジすると、シフトレバーがニュートラルの位置にきたとき、スプリングの力で自然に3速と4速の間に戻ってくれる。この力をうまく利用するのが大きなポイント。
2速から3速へシフトアップするときは、最小限の力で2速からニュートラルに戻し、あとはスプリングの力で、3速の真下にもっていってもらい、それからスッとやさしく3速側へ押し上げればOK。シフトゲートに逆らって、2速から3速へ斜め一直線に押し上げるようなやり方はNGだ。
あとはタイミング。いちいちタコメーターを見ながら最適のシフトポイントを、なんてことはできないので感覚で覚える。エンジンの種類やトルク特性に関わらず、加速しながら「あっ、エンジンが気持ちよく伸びてきたな~」と感じたら、次のギヤにシフトアップ。高速道路の合流や追い抜きなどを別にすれば、通常のドライビングなら、最大トルクのちょっと手前ぐらいでシフトアップし、次のギヤに入れてクラッチをつないだとき、回転数がちょうど1000回転ぐらいドロップすると、スムースな加速がつながるはず。
もちろんある種のリズムも重要なので、シフト操作の上手な人に一度自分のクルマに乗ってもらい、助手席でそのリズムを覚えてしまうのも上達の秘訣だ。
ひと昔前の一流のハイヤーの運転手は、AT車はシフトショックが気になるといって、わざわざMT車でシフトショックをゼロにするのを誇りにしていたそうだ。スポーツドライビングでも、本当に運転が上手な人は、驚くほどシフト操作が滑らかで、じつにスムースに加速Gをつなげていく。
日々、クルマとの対話を楽しみながら、シフトチェンジの達人を目指して、精進してみよう。