基本設計はそのままに細部を磨き上げた
エスティマには「エスティマしか乗らない」というファンがいる。モデルライフが10年を超え、新型の登場を待ち望んでいた人も多いだろう。新型エスティマのエンジニアにその思いを聞いてみた。
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初代エスティマから開発に携わってきた堀 淳一さん(トヨタ自動車 CV Company CV製品企画ZH プロフェッショナル・パートナー)が今回のマイナーチェンジの狙いについて話してくれた。
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「箱型ミニバン全盛のなか、エスティマに乗り続けている方が多いのは、そのスマートなイメージが受け入れられているからだと考えています。外装デザインは、ワンモーションフォルムをうまく活かしたエスティマらしいデザインになりました(堀さん)」
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今回、ボディそのものは従来型を踏襲していて、シャーシも現行のアルファード/ヴェルファイアのベースとなるなど実績と信頼性の高いものなので変更はしなかったという。
車体設計を担当した中村盛次さん(トヨタ車体 製品企画センター 副参事)も、エスティマらしさにこだわった。
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「エスティマには、ハイクラスのミニバンらしい機能性、高い質感が必要です。モデルライフは10年になりますが、その間に設計や製造の技術が進歩し、新しい素材も登場しています。以前はできなかったことを、今回のマイナーチェンジで行ないました。LED式のBi-BEAMヘッドライトや、ソフトレザーを合わせたインパネなどがその一例です(中村さん)」
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「シート表皮も新素材に変更し、ブラック、ベージュに加え、バーガンディやホワイトといったカラーも設定するなど、全体的に質感を高めています(中村さん)」
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「エアコンは静電タッチ式パネルのオートエアコン(ナノイー放出機能付き)を全グレードに装備しました。インパネデザイン同様、先進的なイメージを採り入れました。それと、車内の快適性向上のために、ガラス/ウインドウをすべてUVカット仕様としています。家族での使用が多いクルマですので、すべての座席で紫外線対策ができるようにということで採用しています(堀さん)」
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では走りはどう変わったのだろうか。最近のトヨタ車は、アルファードやプリウスを見てもわかるように、ファミリーカーでも「走りの性能の向上」をテーマに開発されるモデルが多い。シャシー設計を担当した子林誠さん(トヨタ自動車 CVシャシー設計部 第1シャシー設計室 第6グループ長)と中野輝男さん(トヨタ車体 車両実験部 車両性能開発室 主任)に、エスティマに求められる「走り」について、その開発目標を訊ねた。
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「家族使用を想定したモデルなので、当然、乗り心地に対する改善要求は常にあります。しかし一方で、車体は大きく車重もあるので、走行中の安定性も高めなければなりません。そのためにはサスペンションを含めたシャシーをしっかりとしたものにしてドライバーが不安なく運転できるチューニングが必要になります。そこで、サスペンションの基本構造を変えずに、スプリングとダンパーの仕様を変更し、さらに電動パワーステアリングの応答性を高めています(子林さん)」
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ドライバーが安心して運転できれば同乗者の不安も少なくなる。ドライバビリティの向上は安全対策としても有効だ。
「インパネ全体のデザインを変更しました。ドライバーの周囲にあるスイッチ類を、使用頻度や優先度を考慮して適正な位置に配置しています。ドライバーのストレスを少しでも減らそうという工夫です(中野さん)」
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この10年の間にサスペンションを構成するダンパーやスプリングの設計技術が進歩し、性能や機能は格段にアップした。今回のエスティマには新開発のピストンバルブ構造をもつダンパーが新規採用するなど、最新の技術が活用されている。かくして、エスティマ史上、最高レベルといわれるシャシーは完成した。