人気車か不人気車かでお得な乗り方は変わる
クルマは高額な商品、道具であるだけに「3年から5年程度の比較的短期間で乗り換えるのと、長く乗り続けるはどちらが得なのか」と考える人もいるだろう。そこで大きなポイントとなるのが「(購入価格-その時点での査定)÷そのクルマを使った期間」で計算できる、1カ月あたりのそのクルマに乗るために掛かった費用である。
具体的に考えてみよう。1つ目の例は査定の高い人気車に乗っている場合。
仮に新車にて総額300万円で買ったクルマを3年間使って6割の180万円の査定があるとすれば、(300万円-180万円)÷36カ月で1か月あたりに掛かる費用は約3万3000円である。
そのまま5年間乗り続けた場合、5年後の査定が120万円だった場合、(300万円-120万円)÷60カ月で1か月あたりに掛かる費用は3万円となる。
実際には5年間乗るとすれば、その間に10万円程度は掛かるであろう3年目の初回車検代なども必要になるので、1カ月当たりの費用の差はさらに縮まる。
といったことを踏まえると、1か月あたりの費用は、長く乗ってもあまり変わらず、欲しいクルマがあり、かつ次のクルマの支払いに問題がないのであれば、3年程度の短期間で乗り換えたほうが「いろいろなクルマに乗れるし、可能性は低いけどトラブルでお金が掛かることもないし得」という考えも成り立つ。
2つ目は査定の低い不人気車に乗っている場合。
同じように新車価格が総額300万円で買ったクルマを3年使って5割弱の140万円の査定だとすれば、(300万円-140万円)÷36カ月で1カ月あたりに掛かる費用は約4万4000円だ。
そのまま5年間乗り続けて、5年後の査定が90万円だったとすれば、(300万円-90万円)÷60カ月で1カ月あたりに掛かる費用は3万5000円まで下がり、3年目の初回車検代を含めても3年で乗り換えるより、1カ月当たりの費用はさらに安く済むので、5年目に2回目の車検を継続したとしても長く乗ったほうが安く付くという考えが成り立つ。
といったことから、「査定が高い人気車であれば短期間で乗り換えでも損は少なく乗り換えやすい。査定が低い不人気車なら長く乗ったほうが得」というのが大まかな傾向といえる。
ちなみにこの傾向を応用すると、人気車であれば新車か高年式低走行で納得できる値段の中古車、クルマを道具としてとくにこだわりなく長く乗るという選び方をするのであれば価格の安い不人気車の中古車が得というクルマの乗り方に応じたクルマ選びもできる。
なおエコロジーという観点で見れば、新しいクルマのほうが燃費がいいというのは事実であるが、クルマを生産する際の資源やエネルギーまで含めて考えると、よほど古いクルマでない限り1台のクルマを長く乗り続ける方が環境負荷は少ないといえる。
しかし、クルマが高額かつ景気に与える影響の大きい裾野の広い産業である点や嗜好品であることも含めると、「乗り換えたいなら乗り換える」という考え方をしてもいいのはないだろうか。