大人の男性2名乗車でも十分な加速を示した0.9リッターターボ
さまざまなメーカーで経験済みのダウンサイジングターボゆえ、その実力はわかっているつもりだ。しかしトゥインゴは0.9リッター。4ドアの4人乗りコンパクトに0.9リッターはいささか不安であった。だが大人の男性2人乗りプラス30kgを超えるカメラ機材を載せて走ってもまったく不足なし!
ゼロ発進加速、60km/h以降の中間加速とも小気味よく、アクセルに対してグイッと背中を押してくれるような感覚がある。少なくとも100km/hまでしか使わない日本の道路事情であれば、ストレスを感じるようなシーンはないだろう。
そしてRRのメリットはブレーキングとコーナリングで発揮された。コンパクトモデルの主流であるFF車の場合、どうしてもハードな減速時につんのめるような感覚がある。だがトゥインゴは車体全体が沈み込むように減速するため、コーナーに向かい思い切ってステアリングを切り込むことができる。
これをもたらすトゥインゴの前45%:後55%という重量バランスは、多くのひとが不安感から苦手とする下りのコーナーでも安心感となって現れる。今回は走行できていないが、ワインディングの下りをついつい勢いよく走りたくなるであろうことは想像に難くない。
足まわりは独特の感覚だ。首都高速は道路の継ぎ目が多く、路面の舗装自体もかなり荒れている。私自身いつも走り慣れているので、おおよその入力は想像つくのだが、トゥインゴは小さな入力に対し、フワッと吸収する。
こういった足はコンフォート性と引き替えにやや操縦安定性に難ありのことが多い。しかしコーナリング中の継ぎ目乗り越えでその心配は消えた。4輪不均等に大きめ入力が入ってもギュッと収束し、フワフワな乗り味のクルマに多いバウンシングで車体が不安定になることがないのだ。スポーティではないがシッカリ感の高いこの足まわり、なかなかクセになる乗り味だ。
そしてトゥインゴを街中へ。東京都内のゴチャついた道路で真価を発揮したのが、切れ角45°という小回り性能だ。渋滞中、不意に前を走るクルマが停車かとおもったらそのまま路上駐車するシーンに出くわした。
車両が接近していたので、止まった状態でステアリングを右に切って右車線へ出るのだが、前のクルマをさほど気にせず余裕で切り抜けられた。小回り性能と共にフロントの視界のよさ、車両サイズの掴みやすさもこれを後押ししている。