変速比が1.000より高いギヤ比のことを指す
最近ではあまり目にすることはなくなったが、かつてオートマにはオーバードライブ(OD)スイッチというものが装備されていた。
通常はオンにしておくODスイッチを高速走行中にオフにするとオーバードライブ・ギヤからシフトダウンされるというもので、4速ATであれば4速から3速にシフトダウンする操作に使ったものだ。
では、そもそも「オーバードライブ」というのは何を意味するのかといえば、変速比が1.000の直結ギヤより小さい数字の変速比(高いギヤ比とも言う)を示す用語だ。
変速比とは、エンジンのクランクシャフトが何回転したときにトランスミッションからの出力軸が1回転するかを指す。つまり数字が大きければ、同じ速度のときにエンジンの回転が高いことになる。
かつて、変速比1.000の直結ギヤをトップギヤと呼んでいたが、それよりもギヤ比を高くすることで高速巡航でのエンジン回転数を下げるのが「オーバードライブ」ギヤであり、とくにMTの場合は「オーバートップ」と呼ばれることもある。
いずれにしても1.000より小さい数字のギヤ比を指す。ただし、最近の多段ATではオーバードライブ・ギアは複数存在することが多い。
たとえば、トヨタ・クラウンの8速ATは6速が直結となる変速比になっているので、7速と8速がオーバードライブとなる。
●トヨタ・クラウン8速AT変速比
1速:4.596
2速:2.724
3速:1.863
4速:1.464
5速:1.231
6速:1.000
7速:0.824
8速:0.685
また、ユニークなところでは、マツダ・ロードスターの6速MTのように6速が1.000の直結ギヤとなっているケースもある。この場合はファイナルギヤ(最終減速比)によって巡航ギアになるよう設定されているが、用語としてはオーバートップを持たないトランスミッションとなっている。
●マツダ・ロードスター6速MT変速比
1速:5.087
2速:2.991
3速:2.035
4速:1.594
5速:1.286
6速:1.000