【名門の夜明け】70年代後半のマクラーレンF1GPマシン (2/2ページ)

ウイングカーへの道程で苦労し短命に終わったM28

1979 McLaren M28・Ford Cosworth DFV

 葉巻型から楔型へと移行してきたF1GPマシンの次なるトレンドは、やはりロータスのコリン・チャップマンがひねり出したアイディア=グランドエフェクト理論の導入、つまりはウイングカーへの移行だった。

1979_McLaren M28-3・Ford Cosworth DFV 2998cc 90゚V8_IMG_5462マクラーレンも、「M23」以降のマシンを手掛けてきたゴードン・コパックが、1979年シーズンの主戦マシンとしてグランドエフェクト理論に則ったウイングカーを完成させている。ウイング形状のサイドポンツーンにより多くの空気を送り込むよう、ノーズを細身に仕立て上げた。1979_McLaren M28-3・Ford Cosworth DFV 2998cc 90゚V8_IMG_5463

 言い換えれば教科書どおりのデザインで、さらにモノコックにはハニカム材にノーメックスを使用したアルミ・ハニカム製のモノコックを採用するなど、いくつかの新機軸も盛り込まれていた。だが、肝心要であるグランドエフェクト理論の消化が今一歩だった。

 そう思って見てみると、ボディデザインにもちぐはぐさが感じられる。いずれにしても熟成は進まず、79年シーズンの前半を戦ったのみで未勝利のまま、次期モデルの「M29」へバトンを渡すことになった。ドニントンのGPコレクションで撮影。

オリジナル・マクラーレンの集大成となったM29

1980 McLaren M29・Ford Cosworth DFV

「M28」では期待されたようなパフォーマンスを発揮できない、との判断から急遽開発計画が立ち上がり、1979年シーズン中盤にデビューを果たすことになったモデルが「M29」。1980_McLaren M29-5・Ford Cosworth DFV 2998cc 90゚V8_IMG_5459この後、80年シーズンの終盤には「M29」をベースに、各部をアップデートした「M30」が登場したが、根本的な解決には程遠く、半シーズンを戦っただけでお蔵入り。81年シーズンの序盤も「M29」、より正確に言うならアップデートモデルの「M29F」が出走。シーズン後半に登場するブランニューマシンで、新生マクラーレン初の作品である「MP4」に繋ぐことになった。1980_McLaren M29-5・Ford Cosworth DFV 2998cc 90゚V8_IMG_5460このためにタイプナンバーでは「M29」のあとにくる「M30」よりも、「M29」をオリジナル・マクラーレンの最後のモデルとするのが一般的。70年代をマクラーレンの就任設計技師として過ごしてきたゴードン・コパックが、マクラーレンで最後に手掛けたマシンでもある。

 素人目には「M28」よりも随分洗練されたデザインに映るが、やはりウイングカーとしての資質に欠けていた、ということだろうか。「M28」と同様、2016年にドニントンのGPコレクションにおいて撮影。

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