本来は交通弱者への配慮を促すマーク
初心者マークなどをはじめ、クルマに貼るマーク、正式名=「運転者標識」は、4種類ほどある。それぞれの意味は、なんとなく理解されていると思われるが、誤解されている面もあるので、ここできちんとおさらいをしたい。
●初心者マーク(若葉マーク) ※表示義務あり
正式には「初心運転者標識」。普通自動車免許取得後、1年未満のドライバーに表示の義務があり、表示義務を怠った場合、累積1点と反則金4000円が課せられる。
このマークをつけたクルマに「割込み」や「幅寄せ」を行うと、罰金6000円(普通車・二輪車の場合)と、減点1点が待っている。
●高齢者運転マーク ※努力義務
正式には「高齢運転者標識」。2008年~2011年までは、いわゆる「もみじマーク」の表示が、75歳以上のドライバーに義務付けられていたが、2011年2月から、現行の4色のクローバー型のマークになり、70歳以上で身体機能低下が運転に影響を及ぼすおそれがある人に「努力義務」となっている。表示の義務や罰則はないが、このマークをつけたクルマに「割込み」や「幅寄せ」を行うと、罰金6000円(普通車・二輪車の場合)と、減点1点が待っている。
●クローバーマーク(四つ葉マーク) ※努力義務
正式には「身体障害者標識」。肢体不自由であることを理由に、運転免許に条件を付されている人が表示するマーク。これは誤解が多いマークで、第一に、このマークは障がい者自身が運転するクルマにつけるマークで、同乗者が障がい者であっても表示する必要はない。
また、あくまでも走行中のクルマの保護義務を認識するためのマークなのだが、駐車禁止除外指定車証の効力があると誤解している人が多い。
障がい者以外が表示をしても、とくに罰則がなく、ホームセンターや100円ショップでも購入できるので、家族に軽度の障がい者、手足が不自由な人がいると、このマークを貼っている人も多いようだが、福祉関係者や障がい者のドライバーからは、正規の対象者以外のクルマに表示するのは、罰則を設けて禁止してほしい、という声も聞かれる。
●車いすマーク ※運転者標識ではない
これはそもそも、「運転者標識」ではない! 本来は、障がい者が利用できる建物、施設、電車・バス等公共交通機関を表すマークで、以前は、(財)日本障害者リハビリテーション協会のみで扱っていた。それがいつの間にか、一般でも出まわるようになり、上掲の「クローバーマーク」と同じように、障がい者が“同乗”していることを示すマークとして利用している人が増えている……。
当然のことながら、個人のクルマに表示しても、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力は生じず、駐車禁止を免れる、または障がい者専用駐車場が優先的に利用できるなどの証明にはならない。本来の主旨に従った利用を心掛けてほしいところ。
●蝶々マーク 表示義務あり
正式には「聴覚障害者標識」。ほとんど見かけてことがないかもしれないが、これは法令で定められた条件を満たし、普通自動車を運転することができる聴覚障がい者が表示するマーク。マークの表示と共に、特定後写鏡(ワイドミラー又は補助ミラー)を装着しないと、道路交通法違反になる。
というわけで、「運転者標識」ではない、「車いすマーク」を除き、他の4つのマークを表示しているクルマに、「割込み」や「幅寄せ」を行うと道路交通法違反になり、罰金6000円+減点1の処分がくだる。
用途の誤解はともかく、悪用するのは論外だが、本来は交通弱者への配慮を促すマークなので、このマークのクルマに対しては思いやりのある運転を心掛けてほしい。とくに、ハイパワー、ハイパフォーマンスカーのユーザーは、日本人らしく「気は優しくて、力(馬力)持ち」といった所作を期待したい。