フロントヘビーのクルマはアンダーステアになりやすい
車体側では、前後の重量バランスがフロント寄りの、いわゆるフロントヘビーのクルマはフロントの慣性が大きくアンダーステアになりやすい。
反対にオーバーステアが出た場合は、カウンターステアを当ててフロントの回頭しようとする力をなくしてしまうか、車速を落としてリヤタイヤのグリップが回復するのを待つのがセオリー。FF車や4WDなどは、アクセルオンで曲がろうとする力を弱め、オーバーステアを抑えるというドライビングもできる。
車体側では、RRやミッドシップなど、リヤヘビーのクルマはリヤタイヤに荷重がかかっている分、リヤタイヤのグリップの限界は高いが、オーバーステアが出ると収束させにくいという性格がある。
通常の市販車は、直進安定性がよく、路面のアンジュレーションや横風の影響を受けにくく、ステアリングの応答性もマイルドな、弱アンダーステアのセッティングになっていると思っていい。
一方、一流のレーシングドライバーたち、ルイス・ハミルトンやミハエル・シューマッハ、日本では星野一義や長谷見昌弘らは、弱オーバーステアを好んでいる。レーシングカーはトラクションが重要なのは、言うまでもないが、彼らは速度が上がるにつれ、ステアリングがピーキーになっても、ターンインでノーズさえきれいに入ってくれれば、リヤタイヤのグリップはドライバー側で御する力量があるのだろう。
反対に、クルマ側には回頭する力が残っているのに、それを引き出せずにアンダーステアを出してしまうことを、「“手”アンダー」(乗り手側のアンダー、ステアリングの切り過ぎ、不足が原因のアンダーステアという意味)という。