新車同様に戻してあるという意味だが落とし穴も!
旧車の世界だと普通に使われるのが、レストア。個人でレストアするとか、業者でもレストア済み極上車など、意外に広範囲に使われる。
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そもそもレストアとは、英語のリストアからきていて、元に戻すという意味。朽ち果てた旧車を新車のように元に戻すことから、そう呼ばれるようになった。
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PCの世界でもリストアCDというので、完全にクルマの世界だけの用語ではないし、レストランも派生した言葉で、お腹を元に戻す意味が込められている。
クルマの場合だとオーバーホールと似た意味合いをもつが、こちらは機械の機能を中心とした言葉なので、ちょっとニュアンスは異なる。
レストアは、エンジンからボディまですべてで使われるというか、使うことができる。
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次はレストアのレベルについて。どれぐらいやればレストアなのか? 本来の意味だと、新車と同じような状態を指す。もちろんメーカーのラインでもう一度作るわけにはいかないので、あくまでも同等の質ということになるが、エンジンは絶好調で、ボディにサビはなくて、塗装もツヤツヤ。
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メッキも再処理されてピカピカだし、ゴム類も新品が使われて弾力も十分といったところ。もちろんネジ1本まで手が入れられている。旧車に触れて長いこと経つが、掛け値なしでこれがフルレストア済みだ。
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フルが付くとクルマ全体になるが、たとえばボディレストア済みという使い方もするので、この場合はボディだけは上記の状態になっている必要がある。
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レストアといわれると、ボロボロの旧車をそこまでチャンと仕上げてあるのだと思うだろう。ここにトラブルが発生する原因がある。つまり、パッと見きれいだけど、中はグサグサということもありうるし、実際にそんな”極上車”を何台も見てきた。
そもそも新車のようにパリッとしているといっても、個人差があるものなので、古いクルマだからこんなものですよ、と言われれば納得してしまうこともある。
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そもそも考えてほしい。1台のクルマを真剣に新車同様のレベルまでレストアする(手間とヒマをかければ実際に可能)には、何百時間もかかる。これを工賃に換算すると、それだけで100万円は軽く突破。そこに貴重な新品パーツを探して投入するなどしていくと、ぶら下がっているプライスボードの金額で収まるだろうか。実際はならないだろう。
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また、既にもっているクルマをレストアしようと見積りを頼んだら、目玉が飛び出て思わず「ボッタクリ」と叫んだなんていう例はよくあるが、これもまじめにやったらそりゃ、目玉も飛び出る額になる。たとえばボディだと、今や鉄板を叩ける職人サンは絶滅寸前だ。払うのがいやなら、自分でやるしかない。
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旧車をトラブルなく楽しみたいなら、安易にレストアという言葉を信じたりしないように。買うにしても頼むにしても、作業中の写真を見せてもらったり、細かい作業見積りを見せてもらったりして、納得して頼むようにしたい。
こんないい方したくないが、「安い料金で、他人のクルマをチャンとレストアなんてしないもの」だ。あとは自分でやるのもおつなもんです。