空気圧がゼロでも一定距離を走行できるタイヤ
ランフラットタイヤとは、空気圧がゼロになっても、所定のスピードで一定距離を走行できるタイヤのこと。ISO規格では、空気圧0kPa時に指定の室内ドラム試験条件において、「速度80km/hで80kmの距離」を走行可能なタイヤ、となっている。
通常のタイヤは、パンクして空気が抜けると、ペチャンとタイヤがつぶれ、ビートがホイールのリムから外れたり、つぶれたタイヤが擦れて、タイヤが破損してしまう。それに対しランフラットタイヤには、サイドウォール部に補強ゴムが入っていて、空気圧がゼロになってもタイヤが完全につぶれることがなく、上記のように80km以上の距離を走り続けられるようになっている。
メリットとしては、なんといっても空気が抜けても走り続けられるという安全性が第一。そして、スペアタイヤ不要になるので車内空間にゆとりができ、軽量化と燃費性能向上にもプラスとなる。
またブリヂストンによると、現在新車に装着されているスペアタイヤは年間約5900万本もあり、これらはほぼ使われることなく破棄されているので、ランフラットタイヤが普及してスペアタイヤが不要になると、省資源化にも貢献する。
1970年にダンロップが実用化し、1987年にポルシェ959が純正採用(BS)したことで話題になった。2000年以降、BMWの各車など欧州車を中心に普及。日本では日産スカイラインGT-R(R35)の標準タイヤがランフラットとして知られている。
メリット大のランフラットタイヤだが、デメリットもある。
・空気が抜けても車重を支えることができるよう、補強ゴムが固く乗り心地が悪い
・重量が増す
・価格が高くなる
などである。
ただしタイヤメーカーの技術開発によって、近年乗り心地などの短所は徐々に解消されてきている。
ちなみに、ランフラットタイヤでも、パンクした場合は、基本的に修理は可能。ランフラットタイヤが標準装着でないクルマでも、タイヤ空気圧モニタリングシステムを追加すれば(そしてサイズがあれば)、ランフラットタイヤの装着は可能。
逆にいえば、パンクをしても走り続けることができるので、タイヤ空気圧モニタリングシステムが装着されていないと、「速度80km/hで80kmの距離」以上で走り続けて、危険なことになるので要注意。
JAFによると、昨年(2015年)のパンク等のタイヤのトラブルで出動した件数は、年間352,183 件。これはバッテリー上がりに次いで、2番目に多い数。
ランフラットタイヤになれば、これらがほぼ解消される可能性があるので、自車の安全、他車の安全を考えても、ランフラットタイヤ装着車が増えていくことのメリットはかなり大きいだろう。