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【疑問】なぜスポーツマフラーは音が大きいのか (2/2ページ)

【疑問】なぜスポーツマフラーは音が大きいのか

排気効率のいいマフラーほど消音効果が小さい

 自動車用のマフラーというのは、日本語でいえば消音器。つまり、排気ガスの温度と圧力を下げ、エンジン内の爆発音=排気音を小さくするためのパーツ。このマフラーには、大きく分けて、多段膨張型(隔壁型)とストレート型の2種類があり、純正マフラーは前者が主流。スポーツマフラーは後者が多い。

 多段膨張型(隔壁型)は、メインサイレンサー、いわゆるタイコ内に、仕切り板を設け、いくつかの空気室を設け、排気ガスをそれらの小部屋を数度にわたり出入りさせることで、膨張や圧力波の干渉を繰り返させることで、排気ガスの圧力を弱め、消音させるシステム。

 低コストで消音効果が高く、耐久性も割と良好なので、純正マフラー向き。しかし、排気ガスの流路が、迷路のように複雑なので、排気効率が悪く、抜けが悪いのがデメリット。排気ガスの抜けが悪いと、エンジンの空気の吸う力が弱くなるので、エンジンパワーを出すのには不利。

 一方、ストレート型は、タイコのなかにたくさんの穴の開いた真っ直ぐなパイプを通し、そのパンチングパイプの周囲に、グラスウールや、ステンレスウールなどの吸音素材を充填させ、音=震動エネルギーを、熱エネルギーなどに変換する仕組みになっている。

 真っ直ぐなのでパワーアップには適しているが、長期間使っているとグラスウールなどの吸音材が少しずつちぎれてなくなっていき、経年劣化で音が大きくなっていったり、新品のうちでも低い音を消音するのは得意ではない。そのため、アフターパーツのマフラーでも、タイコ内のパイプを、メインパイプより細く絞って、消音を優先しているものもある。

 いずれにせよ、音や圧力もエネルギーなので、これを小さくしようとすれば、エンジンが発するエネルギー=パワーはスポイルされる。つまりパワーを第一に考えると、消音のために抵抗のない、いわゆる「直管マフラー」がベストとなるので悩ましい。

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