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【インタビュー】ホンダF1の現在を長谷川F1プロジェクト総責任者に直撃! (2/4ページ)

【インタビュー】ホンダF1の現在を長谷川F1プロジェクト総責任者に直撃!

前半戦の戦いと開発状況を訊く!

 2016F1GPは、7月31日の第12戦ドイツGPで前半戦を終了、ほぼ1カ月の夏休みを挟んで、現在行われているベルギーGPから後半戦が開始。

 ホンダは、目標を“予選Q3進出”に置いて2016年シーズンをスタートした。遠慮気味に見えたその目標は、実際には極めて的確な設定だった。

 去年、マクラーレン・ホンダが、フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンの手で1年間に獲得したのは僅か27ポイント。メルセデスが703ポイントをかき集めたなかで、10チーム中9番手。つまり、上に16台いる状況であり、10台に出走が許されるQ3進出は簡単ではない目標だった。

 復帰初年度は、ホンダにとって屈辱的な結果となったが、相手はF1。そう簡単に結果が出るようではそもそも挑戦の意味もない。だが、そうはいっても、挑戦2年目に同じ状況は許されない。

 ある意味で喉元に短刀を突きつけられた状況で始まった2016年。まずは足もとを確実にするために、トップ10入りをすること。ホンダはそう決めて挑戦2年目をスタートし、そして着実に一歩階段を上がった。

 ドイツGP翌日に帰国し、開発現場のHRD Sakura(さくら)に戻った長谷川F1プロジェクト総責任者に、“2年目の感触”を訊いた。

  

◆中国でパワーユニットの使い方を変えた

「がんばった結果が形になったと認識していますが、レースは結果がすべて。満足できるレベルにはないですね。目指しているステップは踏めていますが、表彰台や優勝が最終ゴールと思っているので、まだまだ。ハンガリーでフェルナンドの毎日7位はよかったけれど、逆にトップ3との差が明確なってがっかりしました」

 これが開口一番、長谷川F1プロジェクト総責任者の言葉だ。我々の感触と同じような認識だが、その内容は微妙に違っていた。ただし、思ったよりいい方向に。

 Q3進出を目標にスタートした2016年だったが、じつは第3戦中国GPの段階で大きく舵を取り直したという。

「メルセデス、フェラーリ、レッドブル、あとはウイリアムズくらいまではなかなか厳しいものの、冬のテストの感触では、エンジンが壊れずに完走できればなんとか、と思っていました。しかし実際には、フォースインディアやトロロッソもそうですが、ハースの想定外の活躍もありましたから」

 新チームのハースも加わってトップ10も簡単ではない、「全車完走して12位と13位。これではダメだ、ということがはっきりした」ということを第3戦の中国GPで認識したのだ。

 2016年に向けて、ホンダは、「パワーと信頼性とターボの回生」の3つのテーマの開発を進めていた。だが、「信頼性だけやっていてもしょうがない」ことを認識し、戦い方の方向性を変更した。簡単にいえば、点火時期を変えることで、出力レベルを調整して出力を調整していた予選と決勝をわけず、予選モードで決勝を走りきることを目指したのだ。

 そうなると当然、エンジンの耐久性に懸念が出てくる。マージンをもって設計しているとはいえ、そのマージンをどこまで削れるかという挑戦を開始した。

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