技術的な問題ではなく北米市場向けに企画された商品がウケない
もちろん、そうしたテイストを好むユーザー層は日本においても一定数存在している。しかし、現在のアメ車と呼ばれるカテゴリーのモデルが、アメリカンテイストである限り市場を広げることは難しいだろう。では、日本向けにクルマを開発するとなると、現状の規模ではやはり難しい。
卵が先か、鶏が先か論ではないが、こうした状況から日本におけるアメ車の販売は広がらないと考えられる。
ただし、ジープのような世界観を持つブランドは、アメ車でありながら異なる立ち位置にあり、日本での販売も好調だ。日本市場においては、アメリカ生まれのクルマが売れないのではなく、アメリカ向けであることが色濃く感じられるクルマがウケないのだ。ハードウェアとしての違いもあるかもしれないが、数字を見ると、輸入車のなかでは圧倒的に欧州向けに作られたドイツ車が売れている状況といえる。
その意味では、欧州仕立てのラインアップをもつフォードには可能性があったが、アメリカ向けと欧州向けの製品を、同じブランドで、同列に扱ったことでブランディングしきれなかったのは残念だ。
そこにリソースを分散することが難しいという予算的な制限があったことは容易に想像されるが、1980年代にフォード・シエラが日本のレースを席捲した時代に、欧州発のブランドとしてイメージを確立していれば、異なる展開になっていた「かも」しれない。