日本をよく知るCEOがフォードの撤退を決断
残念ながら2016年内でフォードが日本を撤退する。かつてフォード資本下にあったマツダで社長を務め、現フォードCEOのマーク・フィールズ氏が下した決断であるとすれば、そこにはリアルを知っているトップの判断として「これ以上、日本市場に将来性を見出せない」ということだと捉えられる。
つまり日本を知っている社長をもってして、「アメ車が日本で売れない」と考えたというわけだ。では、アメ車が売れない理由は何だろうか。「大きい、重い、燃費が悪い」といったアメ車のイメージが根強いという意見も見かけるが、根本的には「アメリカ市場向けに開発されたモデルは日本市場でウケない」というのが正解に近いのではないだろうか。
じつは国産メーカーにしても、アメリカで売れているモデル(すなわち北米市場にフィットした製品)は、驚くほど日本での販売規模は小さい。具体的にはトヨタ・カムリやホンダ・アコードが挙げられる。いずれも日本でウケるハイブリッドという要素を満たしているにも関わらず、彼の地のような大ヒットにはつながっていない。
さらにいえば、北米で存在感を増しているスバルにしても、レガシィを北米向けに進化させた影響もあり、国内の中心はレヴォーグやインプレッサにシフトしている。
「アメ車」がハードウェアとして劣っているわけではない。北米市場にターゲットを当てたモデルが、なぜか日本でウケないという風に考えたほうが、実情が理解しやすい。
もうひとつ例をあげれば、フォルクスワーゲンにしても、アメリカでの販売の中心はゴルフではなくジェッタ・セダンとなっている。現実として北米は日欧とは異なる市場となっているのだ。