【疑問】排気量が大きいほど燃費は悪くなるのか?

エンジンの大きさが車格を示していた頃の名残りなのか

 愛車談義をしていると「エンジンの排気量は?」や「燃費はどうなの?」といった質問をする、されることは少なくないだろう。さらに、そうした話をする際の前提として『大排気量エンジンは燃費が悪い』といった先入観はないだろうか。WEB CARTOP

 しかし、エンジン排気量だけで燃費が悪いと思ってしまうのはもちろん、排気量が小さいから燃費がよさそうと思ってしまうのは、クルマ選びとしては危うい面もある。とくにダウンサイジング「過給」エンジンは、見た目の排気量の小ささで、実際以上に省燃費イメージを生み出しているといえるからだ。

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 そもそも過給エンジンと自然吸気エンジンを排気量で比べることはナンセンスだ。まして、いまやさまざまなハイブリッドシステムも存在する。話を過給エンジンだけに絞っても、いわゆるダウンサイジングと呼ばれる環境性能に振ったものと、ハイパフォーマンスを狙ったものでは、同じ排気量であっても燃費性能のプライオリティも異なる。WEB CARTOP

 排気量や過給の有無で判断するのではなく、最高出力や最大トルクと燃費に相関関係を見出すほうが適切といえるのではないだろうか。

 かつて、ほとんどのクルマが自然吸気だった時代は、大出力=大排気量であり、多気筒エンジンであった。当然、大出力で大柄なボディの高級車は、燃費において不利な傾向にあり、大排気量が燃費の悪さと関係していたといえる。しかし、前述したように、排気量だけで燃費を判断するのは難しい時代になっている。WEB CARTOP

 また、燃費に影響する要素はエンジンスペックだけではない。リアルワールドの燃費でいえば、ストップ・アンド・ゴーが多い市街地では車両重量の影響も大きいし、高速走行では空力性能も無視できない。

 さらにハイグリップタイヤを履いているようなスポーツカーは、燃費においては走行抵抗が大きくなりがちで不利だ。もちろん、トランスミッションのギア比や伝達効率も考慮しなくてはいけない。WEB CARTOP

 単純に、同じ排気量だから似たような燃費性能であろうとはいえないし、ボディ形状などが異なれば同じエンジンで燃費性能が変わってくるのは当然なのだ。

 もちろん、同じ車種におけるグレードの違いにより、エンジン排気量が異なる場合は、排気量が大きくなるほど燃費は悪くなる傾向にある。WEB CARTOP

 ただ、それにしても排気量の大きな上級グレードにアイドリングストップ機構をつけるなどして条件が異なるケースも見られる。

 大幅に排気量が異なれば話は別だが、同じ車種における1.2リッターターボ車と1.4リッターターボ車を比べると、後者の燃費性能が上まわっているというケースはあり得るのだ。WEB CARTOP

 660ccの軽自動車とV8エンジンのSUVを比べれば、前者のほうが燃費には有利だろう。しかし、車体サイズやカテゴリーの異なるクルマを比べて、エンジン排気量による差としてしまうのは乱暴な話だ。

 エンジン排気量と燃費性能の関係は、あくまでも「大排気量エンジンを積むようなクルマは車両全体として燃費に不利な傾向にある」というレベルの話でしかないといえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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