横浜ゴムが作り出すエコかつパンクレスの安心タイヤ
7月29日・30日の2日間にわたって神奈川県・横浜市にあるパシフィコ横浜で開催されていた「横浜ヒューマン&テクノランド」展に横浜ゴムがブースを出展していた。
そもそも介護者がいなくてパンクした場合は、車イスに乗っている本人が作業をしなければならない。その作業を想像するだけでも大変なのが容易に想像できるだろう。
また、ユーザーによって異なるようだが、非常に高い空気圧で使用しているユーザーもおり、その圧力まで空気を充てんするのもひと苦労となるのだ。
もちろん旅行などでパンクするかもしれないという不安のために、その備えを持ち歩かなければならないというストレスも考えられ、このタイヤはそれを大きく軽減できる。
また、このタイヤに使われているゴムは、リサイクル可能なゴムの素材で作られている。つまり使用後に回収できれば新たに製品に生まれ変わることができるわけだ。
そしてこのタイヤを開発するのが、元GPライダーで、現在は車イス・レーシングドライバーとして活躍している青木拓磨選手だ。
今回はブルーアースの水色と、チェルシーカラー(2015年からパートナー契約を結んでいるイングランド・プレミアリーグのチェルシーFC)で登場している。
非常に細いタイヤだが、きちんとグリップするのはもちろん、段差を超えた際の着地では、サスペンション代わりの衝撃吸収性も必要であり、直に乗り心地にも影響するのだ。使用場所も室内から屋外までさまざま。さらに車イスで通勤している人にとっては雨(ウエット路面)であっても使わなければならない。
よくよく考えれば、自動車用タイヤも技術の塊ともいえるわけだが、その比じゃないほどの要素をつぎ込む必要があるのである。しかし、補助金という枠があるため、大半が補助金内に収まるタイヤで我慢しているという実態が見えてくる。
車イス業界は、補助金ビジネスという側面があり、ケンダの車イス用タイヤというのが圧倒的なシェアを占める。なぜなら、補助金内に収まる価格設定だからなのだ。
会場には数多くの車イスユーザーが訪れており、この横浜ゴム・ブースでは、アクティブな車イスユーザーの熱い商品化の要望が相次いでいた。担当者も「早ければ来年には市販化にもっていきたい」と期待を込めてコメントしてくれた。ビジネスとしては難しい世界かもしれないが、ぜひとも乗り込んでいってもらいたい。できれば、ADVANブランドでもぜひ!
(写真:青山義明)