自動運転技術が新たな「ファン」を生み出す可能性をマツダが示した
たとえば、マツダがアクセラに実装する「Gベクタリングコントロール」。これは自動運転技術とはいえないが、ステアリング操作に合わせてエンジントルクを制御することで前後の荷重移動をアシストするという機能である。
かつてマツダの自動運転技術の開発について取材した際、うまいドライバーの操作を反映することで、ドライバーに見本となる理想的な走りを見せるという意識もあると聞いたことがある。そういう意味では、「Gベクタリングコントロール」は、自動運転技術がドライビングファンにつながる可能性を示す一例とみることもできそうだ。
さらに将来的には、ワインディングなどでは自動運転に任せて風景を楽しみつつ、気分によってマニュアル運転でコーナリングを楽しむといった使い方も可能になるかもしれない。これまでドライバーは操作を担うという関係から、列車に乗っているように純粋に車窓を流れる景色を楽しむことはできなかった。
しかし、自動運転が進めば、ドライバーも景色を楽しむ余裕が増えてくることは間違いない。しかも、自分好みのシチュエーションを選んで、自分だけの景色を楽しめる。
自動運転技術の進化により、ドライビングスキルを磨き、その成果を実感するという楽しみ方はスポイルされるかもしれない。しかし、違う楽しみを見つけ、それを享受するユーザーは生まれてくることだろう。