新興国の富裕層というターゲットとその国の道路事情がポイント
とはいえ、メーカーの都合でSUVがムーブメントになっているわけではない。購入するユーザーがいるからこそのブームだ。
ここでポイントになってくるのは、新興国における自動車市場の拡大であろう。SUVの登場以前までは、車高が低いスポーツカーやクーペがスタイリッシュなクルマの条件とされている面もあったが、ロードクリアランスの小さいクルマは、整備されていない道路(舗装されていない、凸凹の多い道路)では楽しめない。
しかし、最低地上高を確保しながらスタイリッシュなフォルムをバランスさせるというコンセプトから生まれたSUVであれば、そうした地域向けのプレミアムカーとしてのニーズを満たせるのだ。
20世紀の終わりに先進国向けの都市型4WDとして生まれたスタイルが、道路インフラの整備が追い付いていない新興国市場にマッチしたといえる。さらにスーパーカー、プレミアムブランドにとって、相変わらず新興国の富裕層はメインターゲットである。
グローバルマーケットを単純化することは難しいが、少なくとも、この2つの事象だけでも、ハイエンドSUVというカテゴリーが拡大している理由が見えてくるのではないだろうか。