F1はホイールベースが長くなりつつコーナリングも速くなっている
面白いのは、F1で、1998年に全幅を最大2000→1800mm以下にレギュレーションを変更。これはナロートレッド・ロングホイールベース=ホイールベース・トレッド比を大きくすることで、コーナーリングスピートを抑制するのが狙い。
その結果、全幅が2000mm時代のF1マシンのホイールベースは、3000mm以下だったのに(ホイールベース・トレッド比=1.50)、現在のホイールベースは3000~3200ぐらいにロング化。トレッド1800mm、ホイールベース3200mmだとすると、ホイールベース・トレッド比は、1.77で、ほぼプリウス並ということに……。
ところが、F1マシンは年々速くなっていて、コーナリング速度もUP。しかも、ホイールベースは長くなる方向に進化している。
なぜかというと、ホイールベースが長くなると、フロア下を流れる空気の量が増え、それによってダウンフォースを増大させることができるから。
こうしたエアロダイナミクス的な事情と、タイヤの進化、そしてボディ剛性の向上などの理由から、F1マシンはどんどんロングホイールベース化していっているわけだが、エアロに頼れない、レーシングカー以外のクルマは、やはりショートホイールベースのほうが運動性能は高い。
整理すると、
・ロングホイールベース車:
室内が広く、直進安定性に優れ、ピッチングやヨーイングを抑えやすいので、乗り心地がよく、高速クルージングがラク。
・ショートホイールベース車:
回頭性がよく、最小回転半径も小さくなる。タイヤからの入力に対するボディ剛性も確保しやすい。
といった特性がある。
どちらの長所も短所とトレードオフの関係なので、用途に合った、ホイールベース・トレッド比で設計されていることが肝心だ。