スポーツカーの王道であるリヤ駆動か4WDを採用!
具体的なポイントを見ていくと、まず軽トラックはすべて後輪駆動、または後輪駆動ベースの四駆であり、FFは存在しない。この点においては、ドリキン土屋圭市氏も賞賛の素性をもつ。
エンジン本体は特別なチューニングは施されていない(赤帽向けなどの特装車は除く)が、ミッションは基本的にローギヤードかつクロスレシオなので、エンジン回転は常に高めで発進加速に優れる。
四駆ではデフロック機構を備えるモデルもあり、本格的なクロカンSUV並みの悪路走破性能を発揮することも可能。クロカンSUVよりはるかに軽量で小さいため、場合によっては凌駕することもある。全車がジムニー的な走破性を発揮するとイメージすればわかりやすいだろう。
ステアリングは、フル積載時の高負荷、高重心状態でも安定性を損なわないよう、ギヤ比はスローで径も大きめの設定。回しやすいように角度も寝ているが、軽トラックは基本的にショートホイールベースなので、意外にアンダーステア感は小さめ。
RRレイアウトのスバル・サンバー、MRのホンダ・アクティなど、フロントにエンジンを搭載しない軽トラックのパワステ未装備車では、さらに楽しさはアップする。
ちょっと大げさにいうと、空冷時代のポルシェ911やNSX-Rなどの、ノンパワステのリアルスポーツカーのようなピュアなステアリングフィールが得られるのだ。
ミッションはAT、MTともに過積載気味の高負荷に耐えられるよう、ギヤもケースも剛性が高く、ドライブシャフトもデフも太いなど、駆動系の屈強さは一般的な乗用車とは比較にならない。
これらのポイントはすべて普通に運転していて実感できるので、走りが楽しく感じられるのである。
とりわけ、RRレイアウトのスバル・サンバーの乗り味は秀逸だ。軽トラックでは唯一サスペンションが4輪独立懸架式で、他の軽トラックほどには乗り心地が硬くなく、路面追従性が良いのでハンドリングもさらにピュアなフォーリング。リヤエンジンならではの独自のトラクション感は、マジの本気でポルシェ911のようと形容できる感覚が楽しめる。
安く手にはいるスポーツカーは中古車でも年々減っているが、軽トラックは廉価なスポーツカーの代替え品として注目すべき要素を備えている。
若者が運転を覚えるのに、あるいはオトナなが割り切った性能を楽しむのに最適だ。