同じ排気量でもボア×ストロークが変わるとエンジン特性が変わる
・ショートストローク型
ボアが大きい=ピストン径が大きいので、吸気・排気バルブの径も大きくできる。バルブ径が大きければ、吸排気に要する時間が短く、ストロークが短いので、ピストンスピードを上げずに、高回転化できるので、排気量あたりの出力を大きくしやすいメリットがある。つまりショートストローク型=高回転(高出力)型エンジンと認識されている。
デメリットは、バルブ径が大きい分、低回転域では、混合気の流速が遅くなるので(ガスは速く動けば動くほどよく燃える)、燃焼が悪く、低速トルクは比較的小さく、燃費の面でも不利になる。
・ロングストローク型
エンジン=クランクの回転数が同じなら、ストロークの長いエンジンだと、それだけピストンが上下動する平均速度=ピストンスピードが速くなる。つまり、ロングストロークエンジンは、ショートストロークエンジンよりも、ピストンスピードが速いので、低回転で大きなトルクを発生し、実用域で使いやすいエンジン特性が得られる。
燃費の面でも有利だが、高回転化には不向きで、トルク重視型とも呼ばれている。
・スクエア型
スクエア型は、ショートストローク型とロングストローク型の中間的性格で、FA20型エンジンを採用しているトヨタとスバルは、「ショートとロングのいいとこ取り」と称している。
しかしそのベースとなったFB20型エンジン(フォレスター、インプレッサ)は、ボア×ストローク:84.0 mm×90.0mmの典型的なロングストロークエンジンだった。
さらにいえば、かつてのレガシィ、インプのパワーユニットで、今もWRX STIなどに搭載されるEJ20型エンジンは、ボア×ストローク:92.0 mm×75.0mmと、超ショートストローク型。同じ、水平対向4気筒の2リッターで、ボア×ストロークをこれだけ変えてくるのは、興味深い。
一方、日産などは、1967年デビューのS30Zに搭載された、L20型と、セドリック、グロリア、スカイラインに搭載されたRB20、そして国産初のV6エンジン=VG20まで、同じボア×ストローク(78.0mm×69.7mm)を踏襲している。