同一の製法やパーツを広い範囲で使用するから大規模になる
クルマの不具合に関する「リコール」という言葉はご存じだろう。国土交通省・自動車局に審査・リコール課が置かれているくらい公的な用語であり、その定義も明確に決められている。
(以下、国土交通省WEBサイトより引用)
リコール制度の趣旨
設計・製造過程に問題があったために安全・環境基準に適合していない(又は適合しなくなるおそれがある)自動車について、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前届出を行った上で、無料で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度。
(引用終わり)
ここで重要なのは安全や環境性能といった、いわゆる保安基準に関する項目がリコールの対象になるという点だ。保安基準で規定されていない項目に関する改善措置の多くは「サービスキャンペーン」として実施される。つまり、不具合であれば何でもかんでも「リコール」の対象になるわけではない。
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それはさておき、近年リコールの規模が大きくなっている。件数も増加傾向にあるが、対象台数の増加が目立つ。その理由として部品の共通化が進んでいることは無視できない。
タカタ製エアバッグの大規模リコールに代表されるように、同じ製法や素材を使ったパーツが、車種やメーカーを問わず、グローバルに供給される時代ゆえ、そうした領域のパーツに不具合が生じてしまうと、おのずと大規模リコールとなりやすいのだ。
リコールが発生することをよしとは言えないが、それでも大量生産の工業製品である限り不具合をゼロにすることを求めるのは非現実的だ。大きな事故や問題につながる前に早めに原因を見つけ、対策を取ることが重要である。
たしかにリコールになる不具合が発生するのはエンジニアリングや生産技術に不安を覚える要素かもしれないが、そうしたユーザー心理にメーカーが過剰反応すると「リコール隠し」といった負の対策を取ってしまうことにつながってしまう。
一方、ユーザー側もリコールについては対応することは義務である。日常的な点検や整備など、ユーザー(所有者)にも保安基準に適合する状態を維持することが道路運送車両法で義務付けられている。リコールの通知が届いたときに、面倒だからといって放置してしまってはいけないのだ。