この記事をまとめると
■自動車のカタログに表記されるさまざまなサスペンション形式について解説している
■大きくわけると「独立懸架」と「車軸式」がある
■サスペンション形式だけを見て性能の優劣は判断できない
大きくわけて「独立懸架」と「車軸式」がある
クルマのカタログスペックを眺めていると、様々なサスペンション形式があることに気付く。マクファーソンストラット、ダブルウィッシュボーン、マルチリンク、トレーリングアーム、ド・ディオン、トーションビーム、リジッドあたりが、市販車に使われている主な形式だろうか。
ともあれ、こうしてカタカナ語を並べていても、その区別はつけづらい。
そこでまずは日本語の表記で大きく2つの形式にわけられることから覚えていきたい。その2つとは「独立懸架」と「車軸式(車軸懸架)」だ。「独立懸架」は左右のサスペンションがそれぞれストローク(伸び縮み)できるもので、「車軸式(車軸懸架)」は片方が伸びると反対側が連動して縮んでしまうという仕組みとなっている。
サスペンション形式でいうと、リジッドとド・ディオンが車軸式で、それ以外は独立懸架に分類される。もっとも、FF車のリヤサスペンションに多く使われているトーションビームは左右のアームをビーム材でつないだ形状で、ビーム部分のしなりによる左右独立懸架であるが、その見た目や機能面から車軸式に分類されることもある(事実、ホンダはトーションビームのフィットなどを「車軸式」と表記している)。
なお、いまや車軸式を四輪(前後)に使っている乗用車はスズキ・ジムニーやジープ・ラングラーくらい。クロカン4WD車かFF車のリヤに使われていることがほとんどだ。それでも、多くのFF車がトーションビームを使っていることから、リジッド式のサスペンションは本格的な4WDを示す形式となりつつある。
そして、いわゆるモノコックボディのSUVではない、フレームを有する本格的なクロカン4WDの場合、フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンになることが多い。
というのも、多くの乗用車でフロントに使われているマクファーソンストラット式は、ダンパーとスプリングを一体としたストラットアッシーがサスペンションアームを兼ねる構造で、そのアッパー部分を止めるボディは路面からの入力を受け止めることになる。
つまり、フレームとボディが別構造のクロカン4WDでは成立させることが困難で、クロカン車やトラック、特殊車両などのフレーム構造で独立懸架というとダブルウィッシュボーンというのは定番だ。ダブルウィッシュボーンにはスポーティなイメージがあるかもしれないが、そうとは限らないのであった。