月間販売台数は5000台未満とやや寂しい数字
1989年に北米で始まったトヨタの高級ブランド「レクサス」。2005年に日本国内でも展開を始めたので、もう10年以上経っているが、いまだにレクサス・ブランドが浸透していないのでは? という疑問の声は少なくない。
実際、2016年6月のブランド別販売台数(自販連・発表)を見ても、トヨタが12万3912台なのに対し、レクサスは4557台。国内乗用車ブランド最下位のポジションは、軽自動車の不正による販売停止が響く三菱自動車となっているが、それでもレクサスはけっして好調といえる数字には見えない。
では、国内自動車マーケットにおける高級ブランド(高価格帯商品)の売れ行きが悪いかといえば、さにあらず。日本自動車輸入組合の発表値を見ると、同じく2016年6月の実績でいえばメルセデス・ベンツは6368台、BMWは5652台となっている。BMWなどはMINIと合わせると8327台で、レクサスの倍近く売れている。プレミアムカーの市場がシュリンクしているというわけではない。
レクサスにしても4557台という台数は前年同月比では約110%と増えている。レクサスも着実に伸びてはいるのだ。ただ、それがメルセデス・ベンツやBMWといったドイツ系のプレミアムブランドに数字として追いついていないことが成功していないと感じさせる理由だろう。
とはいえ、冷静に考えるとレクサスの販売店というのは地方によっては県内に一店舗だけというケースも珍しくない。もちろん都市部ではそうしたことはないが、東京都でも22店舗(中古店を除く)という規模。トヨタが売っている高級車と思うから期待してしまうのであって、販売チャネルの規模を考えると全国に200店舗以上の正規販売店を展開するメルセデスと同等という見方もできる。
プレミアムゾーンの価格帯ということも合わせて、月販四桁にとどまっているというのは妥当といえるかもしれない。もっとも、初期の目標でいえば、とうに1万台規模になっているはずなのだが。