ガソリンエンジンの半数近くが直噴を採用
かつて三菱自動車が『GDI(ガソリン・ダイレクト・インジェクション)』という名前で展開したときには珍しかったガソリン直噴エンジンも、いまや当たり前のように国内外の自動車メーカーが使う技術となっている。
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さすがに軽自動車では(過去には存在していたものの)見かけないが、1.3リッタークラスでもマツダ・デミオが使っているほか、フォルクスワーゲン・グループのダウンサイジング過給エンジンは、ほぼガソリン直噴エンジンとなっているほど。グローバルに見ても、ガソリンエンジンの半数近くは直噴になっているという報告もある。
さて、それほど広まっているガソリン直噴エンジンのメリットとは何だろうか。たしかに初期のガソリン直噴エンジンにおいては、ピストンの冠面形状を工夫して、リーンバーン燃焼(少ない燃料で燃やすこと)をすることで燃費を稼ぐというのが狙いだった。しかし、リーンバーンはNOx(窒素酸化物)が増えてしまうという問題もあり、現在は少数派となっている。
では、どんなメリットがあるのかといえば、液体として噴射されたガソリンが気体となる際に発生する気化潜熱による冷却効果が大きい。冷却が期待できるということは燃料の異常燃焼(ノッキング)を防ぐことができ、点火時期を進めることが可能となる。