それぞれ得意分野はあるものの公道レベルではあまり気にする必要なし
普段気にすることは少ないが、アルミホイールの製法は大きく鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)という2つにわかれる。それぞれの製法の簡単な概要と、○と×を挙げよう。
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●鍛造(たんぞう)
金属を加熱し、大きな圧力を掛けながらホイールを成形する製法。某ホイールメーカーでは金属を450度前後に加熱し、プレス機で1㎠あたり4トンもの圧力を掛けながら金型に押し付け成形するという。
○ポイント:
・圧力を掛けながら成形する過程で金属がホイールの形に伸び固められるので(密度が増すようなイメージ)、薄くても強く軽いホイールになる
×ポイント:
・プレス機で圧力を掛けるという製法で生産するため、デザイン性を重視した複雑な形状を作るのは難しい
・製造工程が多いため大量生産には向かない。大量生産に向かないことも含めコストが高い
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●鋳造(ちゅうぞう)
高温で溶かした金属を鋳型に流し込みホイールの形に成形する製法。
○ポイント:
・複雑なデザインにも対応しやすい
・大量生産に向くことも含め、価格を抑えやすい
×ポイント:
・金属の密度が少ないため強度を出すのが難しい。強度を確保するためには厚みが増しがちなため、軽量化も難しい
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以上が一般的な鍛造ホイールと鋳造ホイールの概要、○と×である。
これらの要素を総合すると、デザイン性よりも軽さや強さといった機能性が重視される競技用のホイールなどに向くのが鍛造(競技用のパーツなら明確な理由のあるデザインであれば機能美になる)。
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デザイン=ファンション性や価格が重視されることが多い一般ユース向けのホイールには鋳造が向く、というのが一般的な結論だ。
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しかし現在では、メーカーによる違いも大きいが、鍛造でもデザインの自由性が増えてコストダウンした製法もできているし、鋳造でもデザイン性の高さやコストの安さはキープしながら強くて軽いホイールを作ることも可能になっている。
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といったことを考えると競技やサーキット走行などのスポーツ走行に使う「少しでも性能がいいものが欲しい」という人でない限り、鍛造と鋳造という製法はそれほど深く考えず、デザイン、性能、価格などをトータルして自分が好きなホイールを選んでも、大きな間違いになることはほとんどないだろう。