フォグランプの日常的な使用は他車の迷惑になる
最近ではヘッドライトのハイ/ロー切り替えが自動化されたり、周囲の明るさ(暗さ)を認識してヘッドライトを自動点灯させる機能の標準装備化が話題となる時代だが、それだけ適正にヘッドライトを使えないドライバーが多いから機械でカバーしようという話になるのだろう。
またヘッドライトを点ける目的は、夜間などに前方を照らすことだけでなく、周囲に自分(自車)の存在をアピールするという意味もある。そのため雨天や濃霧などの悪天候時は、昼間であってもヘッドライトを点灯することは安全面から推奨されているところ。
バッテリーやオルタネーター(発電機)に心配のある旧車はさておき、電装系に不安のない今どきのクルマであれば、安全のためにも積極的にヘッドライトを点灯したいといえる。
そうした悪天候、とくに濃霧下において有効なのが「フォグランプ」だ。これは霧に合わせて光を拡散させて前を照らすように設計されたもので、クルマの近くを照らすようになっている。つまり、濃霧で前が見えづらいときに路肩から脱輪しないようにクルマに備わる”補助的なライト”といえる。
そのため日没時刻以後にフォグランプだけで走ることは、道路交通法では無灯火運転になってしまう。必ず、ヘッドライトとセットで点灯しないといけないのだ。
さらに、光を拡散するフォグランプの点灯は、前走車や対向車に迷惑となってしまう。つまり、周囲にクルマがいるシチュエーションではフォグランプは消すことが正しい使い方。
フォグランプは他車がいない山道などで安全を確保するために使うものであって、歩行者にも眩しい思いをさせてしまう可能性がある都市部で使うというのは、よほどの状況でなければ考えづらいのだ。
さて、霧というのは後ろから迫ってくるクルマの視界も悪くなっている。そうした相手に自車の存在を示すのが「バックフォグ」だ。後ろにに向かって赤く、明るく照らすことにより追突を防ぐ役割がある。
だからといって、晴天の夜間に使うと、明るすぎて後方のドライバーには迷惑極まりない。こちらも濃霧や豪雨など視界の悪いシチュエーションに限って使用すべき機能だ。
ドイツ車などではフォグランプとバックフォグは同時点灯になってしまうクルマもあるが、よほどの濃霧でなければ使わないという前提での設定といえる。日常的に使ってしまうのは、基本的にNGだ。