エコの追求と共にバッテリーへの要求も拡大
「バッテリー上がり」なんて言葉を聞いたことがあるだろう。ガソリンエンジン車、ディーゼル車、ハイブリッド車も、自動車にはバッテリーと呼ばれる電池を積んでいる。このバッテリーが劣化や放電によってキチンと作動しなくなると、エンジンが止まってしまう、始動しないといった不具合が起こる。つまり走れなくなることがあるのだ。
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そうなるとバッテリー交換が必要になるのだが、乾電池などと違って大きさだけで選べばいいというわけではない。ほとんどのクルマが12Vと電圧は同じだが、車種により大きく分けて4つの種類があるので紹介しよう。
①充電制御車用バッテリー
クルマはエンジンの力を使ってオルタネーターと呼ばれる発電機を回し、バッテリーへと充電する。充電制御システムがないと、バッテリーがほぼ満充電でも発電し続けるため、それだけエンジンの力を無駄に使ってしまう。エンジンの力を無駄に使えば当然燃費も悪くなる。この無駄を減らすのが充電制御システムだ。
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バッテリーが一定量以上減ったときだけオルタネーターが発電するようにする仕組みで、エンジンの力を無駄に使わないために燃費にいいクルマということになる。しかし、充電量がある地点を下まわると充電し、一定量まで溜まると充電をやめるため、バッテリーにとってはこまめに電力を出し入れすることになって負荷が大きい。それに耐えうる性能を持っているのが充電制御車用バッテリーなのだ。今のクルマは多くが充電制御システムをもっている。
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②ハイブリッド車用バッテリー
トヨタ・プリウスやトヨタ・アクアなどに代表されるハイブリッド車は、モーターを動力として使うために大容量のバッテリーを搭載している。しかしこれはあくまで駆動用バッテリーであり、システムを起動するバッテリーは、通常のエンジン車などと同じバッテリー(補機バッテリー)なのだ。
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従って補機バッテリーに不具合があると、いくら駆動用バッテリーに充電があっても走れない、ということが起きる。そしてハイブリッド車の補機バッテリーは車種によってボンネット内ではなくラゲッジなど、いわゆる室内に配置されることも多い。バッテリーからは有害なガスが出ることもあるので、ハイブリッド車用バッテリーは、バッテリーから発生するガスを車外に排出する機構と繋げられるようになっている。
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さらに、一般的なバッテリーにある注水口がなく、密閉されたシールバッテリーであることが特徴だ。
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③アイドリングストップ車用バッテリー
現在増えているアイドリングストップシステム付きのエンジン車。信号などで停車するたびにエンジンが止まり、多くの車種が発進時にセルモーターを回して再始動するシステムを採用している。
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セルモーターを回する際には多くの電力を必要とする上、エンジンが止まっている=発電が行われていない際の、灯火類やオーディオ、ナビなどの電力はバッテリーから供給されることとなる。つまりバッテリーへの負担が非常に大きいのだ。それゆえアイドリングストップ車用バッテリーは、容量が大きいこと、さらに電力を多く使うために高速充電性能の高さが求められる。
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④輸入車用バッテリー
輸入車のバッテリーはサイズの規格が異なる。とくに高さが大きく違い、容量が適合しても国産車用バッテリーではケース内に収まらない、そして固定できないことがある。
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このように、同じように見えてもバッテリーには種類が多い。そしてハイブリッド車でもボンネット内に収納されているものもあるなど、意外に複雑なのだ。交換の際は自分のクルマが何にあたるのか、シッカリと調べてほしい。