気になるのはリヤシートとボディ剛性
続いて後席でのドライブも試してみた。ドライバーズシートで得た質感はリヤシートでも存分に感じられる。ワゴンボディにありがちなリヤが跳ねる印象もなく、快適性は高い。
ただし気になるのはシートのホールド性だ。コーナリングでどうしても身体が左右に動きがちで、アシストグリップ等で踏ん張るので、ワインディングなどでは疲れることが想像に難くない。後席を前倒しする機構をもつワゴンだけに、サイドの張り出しに限界があったり、座面形状をフラット気味にする必要があるなど、制約が多いのだろうが、これだけの走りをもつクルマだけにもう少し改善してほしいところだ。
もうひとつ、ボディ剛性が気になった。ヨレが感じられるなど剛性不足というわけではない。大きめの段差などを乗り越えた直後、ボディに若干振動が残る印象があるのだ。このあたり、足が引き締まった分影響が出ているのかもしれない。あくまで質感の領域なのだが、ボディ剛性がアップすればもっと上質な乗り味となるだろう。
さて、一部気になるところはあるものの、レヴォーグSTI SPortはスバルが話すとおりの質感の向上を見せてくれた。直進安定性も高く、グランドツーリングカー(GTカー)としての資質は非常に高いといえるだろう。
一方で、STIブランドにハードなスポーティさを望むオーナーには少々物足りないかもしれない。しかし、スバルが狙った新たな方向性に沿ったものなのだから、ある種仕方がないことだ。
本音をいえば、これがベースモデルであれば、と思う。そしてこの先に、例えばBMWのMやメルセデス-AMGといった存在として、スポーティなSTIがあれば最高だ。だが、少なくともこれだけの質感をもったクルマを作り出せるということは、この先の可能性を十分に感じられる、そんなクルマだった。
(写真:髙木博史・森山良雄・宮越孝政)
主要装備
■足回り
・専用チューニング ビルシュタインフロントストラット(DampMaticRⅡ、倒立式)&コイルスプリング
・専用チューニング ビルシュタインリヤダンパー&コイルスプリング
■外装
・専用フロントバンパー
・専用フロントグリル
・専用LEDフロントフォグランプ
・専用18インチアルミホイール(ダークグレー+切削光輝)
・専用大型デュアルマフラーカッター
・STIオーナメント(フロント/リヤ)
■内装
・専用本革シート(ボルドー/ブラック)
・専用マルチインフォメーションディスプレイ付レッドルミネセントメーター
・専用本革巻ステアリングホイール(レッドステッチ+高触感革)
・専用本革巻シフトレバー(レッドステッチ+高触感革)
・専用インパネセンターバイザー(レザー調素材巻+レッドステッチ)
・専用フロントコンソール(ボルドー/ブラック)(レザー調素材巻+レッドステッチ)
・専用スライド機構付コンソールリッド(ボルドー/ブラック+レッドステッチ)
・専用ドアトリム/ドアアームレスト(ボルドー/ブラック+レッドステッチ)
・STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート(フロント)
■その他
・専用クランプスティフナー付電動パワーステアリング
・アドバンスドセイフティパッケージ(標準装備)
・WRブルー・パール(STI Sport専用色)