転がり抵抗を下げて燃費に貢献するタイヤ
テレビCMを見ても、エコタイヤの大合唱。実際の各メーカーのラインナップを見ても、実用車向けは当然のこと、スポーツタイヤやプレミアムまでもエコタイヤ扱いになっていてビックリだ。もちろんそれだけ環境や資源に対して、タイヤメーカーもいろいろと取り組んでいるというわけで、とやかくいうものではなし。
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でも、そんなに幅広いジャンルにまたがるというか、またがることができるエコタイヤってなんだろう? とも思うのが正直なところ。今回は根本部分から、おさらいしてみよう。
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最終的な効果というのは、当然だけど、燃費が向上するということ。具体的な数値は、サイズやモデルによって異なるが、数パーセントぐらいとされている。たった数パーセントか、と思うかもしれないが、タイヤが転がり続けているものだけに、トータルでいえばその節約できる燃料の量は馬鹿にはならない。ちなみに三菱の燃費不正はタイヤの転がり抵抗に関係した部分だ。
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次に技術的な特徴を紹介すると、要は転がり抵抗をいかに下げるかというのがポイントになる。真円にできるだけ近くして、さらに硬くしてタイヤがよじれないようにすれば燃費は上がる。その究極が鉄道で、マニアな方ならご存じだろうが、その運転法はというと、ある程度動力で加速したらあとは惰性で走り続けるだけ。金属の車輪とレールであれば、それほど転がり抵抗は低いのだ。
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タイヤもこれほど極端ではないにしても、できるだけ硬く作ればいい。厳密にいうと、よじれると熱が発生。熱というのはエネルギーなので、ここでエネルギーのロスが起ってしまうと、燃費が食われてしまうということになる。まぁ、普通はよじれると抵抗になる程度の意識でいいだろう。自転車が空気が減ると漕ぎにくいのと同じだ
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しかし、硬く作ればいいわけではないのが、エコタイヤの難しいところだ。まず乗り心地が悪くなるし、硬いと路面表面への追従性が悪くなるのでグリップも落ちる。ウエットともなると、タイヤの温度が上がらないように作られていることがハンディになって、さらにグリップ力は落ちてしまう。両立は基本的にむずかしく、ここが最大のジレンマ。公的に評価して表示するラベリングで、燃費向上とウエットグリップのふたつが対象になっているのはこのためだ。
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最近では、ハイグリップタイヤの技術を流用して温度によってよじれが変化しないようにしたり、トレッドとサイドの剛性に違いをもたせてしなやかさしっかり感を両立させるなど、メーカーの努力によって、進化している。登場当初に比べれば、乗り味もかなりよくなっている。
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