ネオクラシックカーに搭載されたエンジンはどれも陶酔モノだ
【ホンダ・B18C】
NAの4気筒としては国産ナンバーワンどころか世界的にも最強と評せるホンダのスポーツユニット。名機をひとつに絞るのは意外に難しく、個人的な情緒としてはVTECの前身時代のスポーツユニットZC(PGM-Fi版)や、S2000の前期型に積まれたF20Cも強く推したいが、ここでは「Type R」というホンダの特別なクルマに積まれた最初の4気筒、初代インテグラ・タイプRのB18Cを最高の名機としたい。
NAなのにリッター100馬力オーバー、F1エンジン並みといわれたピストンスピード、熟練工の手作業による吸気ポート研磨など、当時のクルマ好きをシビレさせた美点は多かった。
タイプRの4気筒は最新のターボも含め歴代いずれも強烈な刺激が味わえるが、1996年当時のB18CはVTECが低速用から高速用カムに切り替わった時のメリハリが凄まじく、全域フラットトルク特性に慣れた現代の感覚で乗ると、デビュー当時よりもさらに強い衝撃を受ける面白さがある。
【スバル・EJ20(ターボ)】
スバリストならずとも一目を置く存在。スバルの水平対向エンジンといえば、一切の妥協を廃して入魂設計されたスバル1000に搭載された最初のEA型こそが最善とする古参ファンの声も根強い。しかし、やはり初代レガシィや初代インプレッサWRXで「走りのスバル」のイメージを確立してファン層の裾野を広げ、WRCなどの国際規格のモータースポーツでも頂点に立つなどその優位性を世界に知らしめた功績により、EJ20ターボをスバル最強の名機として称えたい。
一言でEJ20ターボといっても性能や仕様の幅は広く、27年前に登場した初期型と最新モデルとでは全くの別モノといえる。だが、低重心&高剛性、好バランスという素性の良さや、ビッグボアのショートストロークによる高回転型という基本特性はどの世代でも変わらないので、ここではすべてのEJ20ターボを名機として挙げたい。
デビューから27年以上経った今も現役であるという稀有なロングセラーユニットだ。
【三菱・4G63(ターボ)】
80年代から三菱のスポーツモデルに搭載され、ランサーエボリューションでは、市販車でも競技車でもスバルのEJ20と2リッター4気筒ターボの世界最強の座を巡って熾烈な性能競争を繰り広げた。
4G63もWRCでマニュファクチャラータイトルを獲得するなど、性能、名声ともに互角。「EJ20対4G63」の優劣を巡る議論はいまだに決着を見ず、最終的には「好みの問題」として片付けられることが多いが、これほど長い年月にわたって多くのクルマ好きの間で議論され続ける国産エンジンのライバル関係は空前にして絶後。
直4と水平対向というレイアウト以外では、基本設計がやや古めの4G63はシリンダーブロックが鋳鉄で重い反面強度は高く、高出力化に耐えやすい。さらにロングストロークで低速トルクが太いなどの点がEJ20に対する大きな相違点として挙げられる。市販車でも競技車でも先に戦いの場から降りたのは4G63となったが、国産4気筒ターボ随一の名機との評価は不変。