30年分のエンジン技術進歩を目の当たりにできる貴重な場所
日産自動車の匠の技術者がR35型GT-Rに搭載される、VR38型エンジンを製造する工場として一躍有名となった横浜工場。この工場内にこれまで日産自動車が製造したエンジンを見ることができるミュージアムがあることをご存知だろうか。
その時代時代で最高峰の性能を誇ったS20、RB26、VR38といった歴代GT-Rのエンジンはもちろん、1935年の日産自動車創業当時に生産された、7型エンジンから最新のMR型エンジンまでの歴代の名機が、約180機保管されており、その歴史に触れることができる貴重な場所なのだ。
所在地は神奈川県横浜市の日産自動車横浜工場A1地区のゲストホール。この建物は創業当時の日産自動車本社の事務1号館で、当時のままの姿で現存していることから、経済産業省の近代化産業遺産、横浜市からは歴史的建造物の認定を受けている。
現在、1階が「横浜工場で生産される最新エンジン&車両」と「エンジンミュージアム」、2階が「創業から現在までの日産の歴史紹介」と「横浜工場の取り組み/PR」の4つのエリアに分かれている。2階は当時のままの姿を残しており、その場に立つとまるで当時にタイムスリップしたような感覚だ。各エリアは小学5年生が理解できるように解説されているが、一部にマニアックなスペースもあり、クルマ好きでも存分に楽しめる。
「これらのエンジンはもともと日産エンジニア教育のために1978年頃から集め始めましたので、当初は非公開の博物館でしたが、平成15年4月の横浜工場のゲストホールのオープンにあたり、一般公開しました。生産エンジンのほかに、試作エンジン、モータースポーツ用エンジンがあります。所蔵する180機のうちエンジンミュージアム内に展示できる数は28機。1年に何台かは入れ替えるようにしています。日産エンジンの歴史全体を見ていますので片寄ったラインアップにしないようにしていますが、スカイラインのファンは熱い方が多いですね」、とは学芸員の前田博正氏。