ブレーキが利かなくなる「ベーパーロック現象」が起こる危険も
クルマはエンジンの力で走る。ガソリンや軽油を燃やしてそのエネルギーでエンジンを回転させて、タイヤを回す。逆にいうとエンジンを回すためにはそれだけのエネルギー、力が必要なのだ。走行中にアクセルを戻すと、燃料が供給されないために自分で回らないエンジンを、タイヤの回転で回さなければならないためブレーキがかかることになる。
さらにギヤは低いほどエンジンブレーキが強くかかる。マニュアルなら5より4、4より3の方が強いブレーキというわけだ。オートマ車の場合も同様で、ある程度の速度が出いてる場合、DよりSやL、2や1のほうが強くブレーキがかかる。
この理由は、タイヤ1回転に対してエンジンが何回転回るかがギヤによって決まるため。エンジンブレーキ時は、ギヤの数字が低いほど、タイヤ1回転で回さなければならないエンジンの回転数が増えるため、強いブレーキがかかるというわけだ。
ちなみに、山道の下りなどで「エンジンブレーキ使用」を推奨しているのは、通常のフットブレーキへの負担を減らすため。ずっとフットブレーキを使い続けると摩擦熱により、フェードといって、ブレーキの摩擦材から熱でガスが発生する。ガスの膜によって摩擦力が低下してブレーキの利きが悪くなるのだ。
また、ブレーキオイルが沸騰して気泡が発生し、ブレーキが利かなくなる「ベーパーロック現象」を起こすこともある。当然下りでブレーキの利きが悪くなれば危険! だからエンジンブレーキを併用することを推奨するのだ。