一長一短あるが何も使わないのはNG
ワックスとコーティング。大切な愛車の塗装を保護するのに、昔から塗られているのがワックスだ。それに対して、比較的新しいのがコーティング。ただ、ボディに塗るのはすべてワックスと思っていて、そもそも区別できていない人も多い。
どっちがいいのかにも関係するのだが、まずは成分的な違いを説明しておこう。ワックスというときに指すのは「固形ワックス」のことが多い。固形ワックスはパラフィンなどの油分を主成分としているのが特徴。高級ワックスになると、よく聞く「カルナバロウ」というのが配合されているのを目にするが、これはブラジル原産のロウの一種で、ワックスに配合すると濡れたようなツヤを出すことができる。
ちなみにカルナバ100パーセントという表示をたまに見かけるが、カルナバだけではワックスはできない(硬すぎて塗れない)ので、この表記の意味は、「ロウはカルナバだけを使用しています」というのが正解になる。
そしてワックスにはもうひとつあって、それが半ネリだ。最近はあまり見かけなくなってきたが、ソフト99が初めて作り出した日本オリジナルのワックスで水性なのが特徴。実物を見てもかなり柔らかくマーガリンのようで、塗りやすくて拭き取りやすい。作業性がとてもいいので、その昔は汚れ落とし(クリーナー成分が強いものも多い)として固形ワックスの前処理に使われていた。
一方、コーティングは化学的に効果を発揮するのが特徴。つまり化学薬品なのだ。ワックスは塗装の上に乗っているだけなのに対して、分子として吸着するので効果は長く続く。さらに強力水弾きをウリにしていたりもする。
先駆けだったタイホー工業のイオンコートは、6カ月持続や撥水で大ヒットをしたのを覚えている人も多いのではないだろうか。そもそもイオンコートというネーミング自体が、コーティングの特徴をよく表わしている。