製造技術の進化と歩行者保護の観点から必要性がなくなった
その一方で、異型ヘッドライトの製造技術も進化。あえてリトラクタブルにせずとも低ノーズスタイリングを実現できるようになってきた。たとえば、日産フェアレディZ(Z32型)は、その好例。そのヘッドライトはランボルギーニ・ディアブロがリトラクタブルから固定型に変更される際に流用されたことは有名なエピソードだ。
また、今度はヘッドライトの常時点灯が義務化されるという流れが生まれる。常時点灯となればリトラクタブルの意味はない。さらに歩行者保護の観点から、点灯時に突起物となるリトラクタブル型はネガティブな要素となる。
つまり、現在のルールやニーズが変わらない限り、リトラクタブルライトの新型車が登場する可能性(必然性)はほぼないといえる。
こうして、世界的にも採用例が減っていったリトラクタブルライト。ランボルギーニがマイナーチェンジで固定式に変えたように、NSXも途中でリトラクタブルをやめている。
結果、国産のリトラクタブルライト装着車として最後まで生産されていたのはマツダRX-7。その生産が止まったのは2002年で、ギリギリ21世紀までリトラクタブルライトの国産車は存在したのである。