18万5000人の観客が歓喜したニュル24時間
5月28日〜29日の2日間にわたって繰り広げられた今年のドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レース(通称:ニュル24時間)。29日の15:30(日本時間22:30)、長く熱い戦いの幕が閉じた。ミハエル・クルム/ルーカス・オルドネス/星野一樹/アレックス・バンコム選手がドライブした35号車のNISSAN GT-R NISMO GT3(Nissan GT Academy Team RJN)は、21番グリッドからスタートし、総合11位でチェッカーフラッグを受けた。
スタート直後に襲った豪雨と雹(ひょう)の影響によっていきなり赤旗中断となるなど、出だしから荒れたレースとなった今年のニュル。そんななか、35号車のNISSAN GT-R NISMO GT3は、決勝前に立てた作戦どおり、自分たちのペースを完璧にコントロール。計16回行ったピット作業のうち、イレギュラーだったのはたったの1回のみ(急遽、ウエットからドライタイヤに交換するため)。それ以外はマシンもノートラブルで、すべてルーティンでのピット作業だった。
予選から速さを見せていたSP9クラスのライバル勢(FIA GT3マシン)は、決勝でもそのポテンシャルの高さをいかんなく見せつけた。とくにメルセデス AMG GT勢は盤石の走りを見せ、総合1位から4位までを独占! しかも、ラストラップで奇跡の逆転劇が起きるなど最後まで超接戦だった。同じく新車を持ち込んだBMW(M6 GT )やアウディ(R8 LMS)は、マシントラブルやクラッシュに巻き込まれるなどして脱落していった。
スタートドライバーを務めたミハエル・クルム選手は「序盤からみんな飛ばすと思いますが、僕たちは24時間先のゴールを考えたペースコントロールを守りながら冷静にいきます」と語っていたが、35号車の走りはまさにその言葉どおり。24時間耐久のお手本とも言うべき、完璧に近いレース運びを見せた。
ただし、速さという意味では地元ドイツのGT3勢が圧倒的だった。上位陣のラップタイムはGT-Rよりも毎周10〜20秒ほどアドバンテージがあった。強さだけではなく、速さも兼ね備えたマシンとチームが勝利を収める。スプリントレース的な要素も色濃くなってきた近年のニュル24時間レース。来年はぜひともGT-R初のオーバーオールウィン(総合優勝)を期待したい!
(写真:増田貴広)