チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志さんのコメントも!
ついに、ニュルでGT-R NISMOの2017年モデルを捕らえることに成功! 5月27日(金)現地時間16:00、日産がドイツの限られたジャーナリスト向けにNISMOのお披露目イベントを実施。そこに日本のメディアとしては唯一、GT-R Magazineも参加することができたので、速報をお届けしよう!
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初めて目にするGT-R NISMO 2017年モデルは、写真で見るよりもかなり「洗練」されたイメージだ。とくにフロントバンパーまわりの造形は、従来のNISMOとはかなり異なったデザインテイストが盛り込まれている。
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先に発表された基準車のGT-R 2017年モデル同様、日産車の象徴的デザインでもある「Vモーショングリル」を新採用。基準車はマットシルバーに塗装されているが、GT-R NISMOはここが「メッキ」となっているのが相違点。
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Vモーショングリルに合わせて、ボンネットフード自体のデザインも変更されている。フロントバンパーは、ヘッドライト下部に横方向の段差が設けられている。これは、フロントのダウンフォースを獲得するための、いわゆる「カナード」効果を発揮するとのこと。また、リップ部も従来より延長されており、上目から見るとまるで「GT3マシン」のように前方にせり出しているのがわかる。
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従来はフロントバンパーの左右に段差を作り、そこでフロントブレーキの熱を吸い出す効果を狙っていたが、新型のNISMOにはそれが見当たらない。
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R35GT-Rチーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志さんによると、「今回は段差ではなく、カナードとフロントリップ先端の形状を見直すことで、同様の効果を得ることができました。また、フロントの開口部をこれまでよりも広げ、冷却効果をアップしています。ただし、それだと空力抵抗(Cd値)が悪くなってしまうため、バンパー全体のデザインを見直すことで補完することに成功しています」とのこと。
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エンジン自体は600馬力/66.5kg-mと従来のGT-R NISMOから変更はない。ただし、ルーフとピラーまわり、Cピラーなどの構造を見直したことで、ボディ剛性をさらに高めたという。「単に剛性を上げただけではなく、今回の変更でボディ前後の剛性バランスを整えることができました。これは、実際の走りに相当効くんです。合わせて、ショックアブソーバーやスプリング、スタビライザーなども強化しています。今までよりもバネレートを上げていますが、乗り心地は従来と同等レベルと維持しています」と田村さん。
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さらに、メーカーのリリースには載っていない情報もゲットした。パッと見はこれまでと同じホイール(レイズ製の鍛造)のようだが、じつはホイールのスポーク裏と横部分に「えぐり」を入れ、従来比でフロント=800g、リヤ=650gほど軽量化しているとのこと。実車で確認すると、なるほど当該部分が肉抜きされていることがわかる。それでいて、ホイールの剛性値は今までよりも高めているというのだから恐れ入る!
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内装に関しては、基準車と同じ造形をベースとしながら、ダッシュボードやステアリング、シート表皮などにアルカンターラを採用。カーボン製のセンターコンソールには誇らしげに「NISMO」のメタルプレートが装着されている。
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ニュルで市販量産車最速タイムを出しているGT-R NISMOだけに、2017年モデルでも記録更新へのチャレンジを考えているのだろうか? そんな問いかけに、「それはまだお話しすることはできませんが、ひとつ言えるのは、2017年モデルのNISMOは速さを磨くことは当然、これまでよりもさらにプレミアムな仕立てになったと思っていただきたいです」と田村さんは答えてくれた。
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速いのは当たり前、今度のGT-R NISMOは乗り心地を含めさらに「上質」に変貌を遂げたということのようだ。ちなみに、発売時期や車両価格は今のところ未定とのこと。ボディカラーは従来同様の5色を設定。基準車に用意されている新色「アルティメイトシャイニーオレンジ」の設定はないとのことだ。
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