超難関コースのニュルをサラリと走行できるとは普通の社長じゃない!
1970年から開催されている「世界最大の草レース」であるニュルブルクリンク24時間耐久レース。トヨタは同レースを人材育成の場として位置づけ、2006年から参加を続けている。10年目の節目となる今年、「モリゾウ」こと同社社長の豊田章男さんがピットに出現! レクサスRCでニュルブルクリンク24時間レースの予選を走行した。
5月26日(木)〜29(日)に開催されるニュルブルクリンク24時間耐久レース(通称ニュル24時間)は今年で43回目を迎えた。同レースはグランプリコースとノルドシュライフェを組み合わせた全長約25km(25,378m)のコースを使って行われている。今年は150台以上のマシンがエントリー。例年5〜6月に開催されているが、ニュルブルクリンク近郊はドイツらしい田園風景が広がっている。サーキットから一歩踏み出せば、ほぼ満開の菜の花がレース観戦で疲れた目を癒してくれる。
ガズーレーシングは今回、3台のマシンをエントリーした。ゼッケン188番のレクサスRC(SP3T)、ゼッケン326のトヨタC-HRレーシング(SP2Tクラス)。そしてトムスとタッグしたゼッケン36のRC F(SP-PRO)だ。
26日20時。予選1回目の走行が始まった途端、ぽつぽつと雨が降り始めた。ガズーレーシングのピットでは3台のマシンの走行準備とレインタイヤの用意などが始まり、にわかに慌ただしくなった。ところが、どうも様子がおかしい。かねてから「モリゾウがドイツに向かっているらしい」という噂が関係筋から流れていたが、どうやらニュルに到着したというのだ。モリゾウとは、豊田章男社長のレース時のエントリー名だ。確かに、エントリーリストには木下隆之選手、蒲生尚弥選手、松井孝充選手らとともに「Morizo」の名が連なっていた。
すると、本当に章男社長が出現! 慣れた手つきでレーシングギアを装着したかと思うと、レクサスRCに乗り込んだ。あっという間の出来事だった。章男社長に近しい関係者いわく「ニュルに向かっているとは聞いていましたが、RCを運転するとは思いませんでした」。
チェック走行後、2周のドライブを終え、大過なくピットに戻ってきたRC。マシンから降りた章男社長を報道陣が取り囲んだ。
「レースに出る出ないというよりも、みんな一生懸命この日のためにクルマを作っているわけじゃないですか。それを最後のフィルターとして、この土地で、この道でチェックしてあげるのが最後の役割だと思いましたから。それで走りました」
RCに乗った印象に関しては「非常にね、長く乗っても疲れないクルマだと感じました。耐久レースにはいいかもしれませんね。ただね、シート熱くない? シートヒーターついてるの?(笑)。寒い日にはいいですけど、暑くなったらドライブは大変ですよ」と気さくにコメントしてくれた。
翌27日(金)は予選走行2回目、トップ30予選を行い、決勝レースは28日(土)の15時30分からスタートする予定。モリゾウ選手が決勝を走行するかは、まだ謎のままである。
(写真:増田貴広/編集部)