【超速攻試乗】R35GT-Rの2017年モデルに中谷明彦がヨーロッパで乗った(インカー動画あり) (3/4ページ)

ウエット路面の混在するコンディションでも不安感はない

 僕自身は以前に一度だけスパでレースをしたことがある。2000年のポルシェ・スーパーカップ・スパ・ラウンドにスポット参戦したのだ。その時も2回のプラ クティスセッションと予選は雨。決勝のグリッドに着いた途端に晴れていきなりスリックでレースするというスパ・ウェザーに翻弄された経験がある。結果は 散々となってしまったがコースを知ることはできた。

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 そんなわけで今回にテスト走行では助手席に現地NISSANが用意した案内役のインストラクターが同乗したが、僕のキャリアを知って静かに同乗してくれていた。

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 スパのもう一つの名物コーナーは「ラ・ソース(La source)」と呼ばれる第1コーナーだ。かつては一般道だったホテル前の鋭角ターンを抜け、急激に下り一気に駆け上がるオー・ルージュへと繋がって行 くのだ。今回はこのラ・ソースのアウト側ホテル位置からコースインするという日常的には経験できない変則的なコースイン方法が取られた。つまりコースイン すると最初から超高速オー・ルージュへ向かってかけ下って行くことになる。

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 最初の周回はもちろんウォームアップを兼ねゆっくりと各所を確認しながら走行する。所々ウエットで川が流れている箇所も少なくない。

 そんななかで、しかし相変わらず2017年モデルは極めて安定して走行してくれる。ウォームアップとはいえ車速は100km/hを超える領域で、一般道に例 えれば高速走行をしているわけだが、アウトバーンで感じた直進安定性とグリップ感は変わりなくドライバーに大きな安心感を与えてくれている。

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 2ラップ目に入りラ・ソースをかけ下りオー・ルージュへ全開で突入していった。車速はあっという間に200km/hを超えボトムラインでブレーキングしながらアップヒルを駆け上がる。

 この難しいコーナー区間をGT-Rは極めて安定し狙ったラインを正確にトレースしながら微妙なアクセルワークにもリニアに反応して何事もないようにクリアできた。

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 オー・ルージュを安定してクリアできれば続く最長直線部の「ケメル・ストレート(Kemmel Straight)」での最高到達速度が大きく変わる。今回はウエットだったが、GT-Rの速度は230km/h近くまで高める事ができた。

 そこから続くコーナーセクションは下りが多く、速度マネージメントが難しい。新型のスロットルマネージメントは微妙なアクセルワークに対しリニアなトルクコントロールが可能となっていて、NAエンジンのようなコントロール性を発揮してくれている。

 そして4WDならではの強力なトラクションが高速域での車速の維持に有要なのだ。

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自在なライントレースが可能になったハンドリング


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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