タイヤや空気抵抗などを個別に測定した合算で走行抵抗を算出
18日の昼に流れたスズキの燃費計測法令違反の状況が解ってきた。国交省の指針によると、実車を使った「惰行法」で走行抵抗を計測し、JC08モード測定の時のデータにするよう定めている。今回スズキは惰行法での実車データでなく、風洞で空気抵抗を計り、ローラー使ってタイヤの転がり抵抗計り、計算により走行抵抗を出していたという。
スズキは実車のデータを使わなかった理由として「相良のテストコースは横風を防ぐための遮風板などの設備無く無風状態でのデータを取りにくかった。とくに軽自動車は風によって大きく数値がバラつく。そこで風洞やローラーのテストから得たデータを使った。燃費データについて恣意的に良い数字を出すという意図はない」と言っている。
客観的に考えると、風洞など作るより遮風板など作る方がコスト的に低いと思えるのだけれど、スズキとしては個別に計測したデータを使いたかった理由もあるのだと思う。奇しくも法令違反を始めたのは燃費競争が激しくなった2010年からという。このあたりは三菱自動車のeKワゴンの開発時期とバッティングする。
納得出来ないのは「現在販売している全ての車種について惰行法で走行抵抗を計っている」とスズキが言っているにも関わらず、風洞とローラーテストの走行抵抗を国交省に提出しているということ。実車での走行抵抗を計っているなら、それを使えばいいと思う。やはり狙った通りの走行抵抗が実車計測で出なかったということなんだろう。
参考までに書いておくと、国交省は全てのメーカーに対し「5月18日までの燃費計測方法について問題あれば返事をすること」という伝達を出し、スズキを除く全てのメーカーが「問題なし」という回答をしている。法令違反をしたのはスズキだけということで良いと考える。スズキも法令違反違反は認めているが、実害無しという判断らしい。
記者会見でスズキは「現販売中の16車種は全て個別の計測で出した数値をベースに走行抵抗を算出しているものの、カタログ燃費は変える必要無し」と主張している。一般的に走行抵抗の算出は難しくないため、スズキの主張を信じていいと思う。国交省がスズキの報告に納得すれば、大きな問題にならないかもしれない。
※会見の写真出典:USTREAM NIKKEI CHANNEL