ディーゼル車の燃費は良いがCO2排出量は多い
また、ガソリン、ディーゼルとも炭化水素の液体燃料だが、ディーゼルの方が発熱量が多いのと同時に燃焼時の二酸化炭素排出量も増えてしまう。つまり二酸化炭素排出量ベースでの環境負荷をいう場合は、同じ距離を走るのに燃料を何リッター使ったかという、使用量に基づく燃費だけでは判断できない。イメージでいえば、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに対して1割程度燃費が良くなければ、二酸化炭素排出量が同等にならないのだ。
ちなみにガソリンエンジンにもディーゼルエンジンにも、それぞれ2サイクルと4サイクルがあり、ターボとNAも存在しているので、やはり点火プラグの有無が最大の識別点といえる。
また、現代の環境性能ニーズを満たすためには排ガスや処理装置についての違いもある。エミッションでは、ディーゼルエンジンにおけるNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)が問題視されているが、じつはガソリン直噴エンジンでも同様の問題があり、ここでも明確な違いはないといえる。
なお、各自動車メーカーでは、ガソリン燃料を自己着火させるHCCIと呼ばれる方式が研究されている。このテクノロジーが完成されると、ガソリンエンジンでも点火プラグを持たない高圧縮比エンジンが実現することになる。そうなると使用燃料が違うだけで、ますますガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いがわかりづらい未来になりそうだが、全域HCCIエンジンが生まれるのは、まだまだ先といえそうだ。
【詳しくはこちら】
日産自動車 将来技術 HCCI (Homogeneous-Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火
http://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/hcci.html