2370億円の投資に見合ったメリットがある
2016年5月12日、日産自動車と三菱自動車が「資本業務提携」を結ぶことが発表された。これは日産自動車側が、2370億円を投じ、三菱自動車の株式34%を取得するというもの。
三菱自動車が先日発覚した燃費不正問題を受け、業績不振に陥ったための「救済策」という見方があったが、会見を行った日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO、三菱自動車の益子 修会長は、それを否定。2011年から軽自動車の開発で協業を開始したときから、さらなる協力関係を強化したいと考えトップ同士で話をしてきた、燃費不正問題によりそれが早まっただけだと強調した。
また、カルロス・ゴーン社長は、「三菱は三菱であり自主的な経営を行ってもらう。日産はあくまで株主。34%の株式保有率は確かに拒否権をもち、日産の合意なしには何もできないが、日産がコントロールしたり支配するのではない。パートナーシップだ」という内容の発言を行った。
また、この「資本業務提携」は双方にメリットがあるという。三菱側は日産からの技術的支援、人的支援を受けられること。日産側は三菱の東南アジア市場での強さ、SUV、ピックアップ、4WDの技術等がメリットになる。また、ピックアップトラックのプラットフォームやEV技術などは両社ともがそれぞれもっている。これを今後、共同で開発、共用するなどすることで大幅なコストダウンが図れる。カルロス・ゴーン社長によれば、「現在明確になっているだけでも約2300億円の投資を正当化できるだけのメリット、シナジー効果がある」とのことだ。また、例えば南米市場など、今後より多くのシナジー効果が期待できるという。
また、三菱ディーラーが日産ディーラーになる、というようなことはないとも語られた。
具体的なスケジュールだが、デューデリジェンス(資産の調査活動)を実施して、年内には資本業務提携を結ぶ予定とのことだ。