日本のセダン市場復興の鍵となる可能性も
今やアメリカをも凌ぐ自動車大国となった中国。売れている台数もハンパなく、たとえばHAVAL(ハバル)H6という人気SUVは、2015年12月だけで4万2553台を販売! 価格は日本円で150万円くらいから、とリーズナブルなモデルだが、それにしても驚くべき台数である。
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自動車メーカーにとってビッグマーケットである中国では、日本未発売のクルマも数多くラインアップされている。なかでも注目したいのが、グレード名に「L」の名が付くロングボディモデルだ。ロングボディモデルとは、ホイールベースを延長して後席の足もと空間を広くしたもの。日本でもレクサスLSやメルセデス・ベンツSクラスといった高級セダンに設定されているが、中国では、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズといったミドルサイズのセダンから、果てはヤリス(日本名ヴィッツ)といったコンパクトカーに至るまで、幅広い車種にロングボディが設定されているのだ。
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ではホイールベースがどのくらい伸びているのか。具体的な数値を見てみると、トヨタ・ヤリスLはベース車プラス40mm、インフィニティQ50L(日本名スカイライン)がプラス48mm、メルセデス・ベンツCクラスがプラス80mm、BMW3シリーズがプラス110mm、アウディA4がプラス44mmといった具合。中国では街なかで見かけるCクラスやA4のほとんどが「L」。ノーマルボディは見ることがないというくらい、ロングボディが人気となっている。
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と、ここまで読んで「どうせ足もとが広いだけでしょ。Cクラスとか3シリーズはスポーティさも重要なんだから、日本じゃねぇ……」と、否定的な意見をもつ人も多いだろう。CARトップ取材班もそうだった。しかしその意見は、実車を見ることで180度覆された。
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Q50Lのように単に足もとが広くなっただけのクルマもある一方、たとえばCクラスは照明付きのバニティミラーやエアコン調整機能、各種電源などが備えられていたり、3シリーズには後席側から助手席の前後スライドが操作できるスイッチが追加されていたりと、後席の快適性がSクラスなどの上級モデル並みに高められているのだ。
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クルマ好きにとって気になる走りも、サーキットでも走らない限り、ほぼ気にならないレベル。単純に全長が長くなる分、取り回しが悪くなることくらいだろう。
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ミニバンが一般的なクルマとなるなか、セダンが地味な存在となっている日本。しかし “小さな高級車”ともいえるロングボディが、意外にも日本のセダン復権のカギとなる可能性もあるのではないだろうか。