ルノーの株主総会で過半数が反対した
海外通信社の報道によると、ルノーの株主総会において、同社の会長兼CEOであるカルロス・ゴーン氏の報酬が高すぎるとして総会の議題にあがり、過半数の反対があったという。
ルノーからの報酬(約9億円)に加えて、日産から10億円ともいわれる役員報酬を得ているカルロス・ゴーン氏。その金額自体はグローバル企業のトップとして問題視するほどでもないという見方もあるだろうが、ルノーの株主総会において議題となったことは、報酬における金額の多寡が本質的な問題ではないといえよう。
役員報酬については株主総会で決まるものではなく、取締役会マターであるという。つまり、株主総会での役員報酬に関する指摘というのは、トップ人事に対するなんらかの意思表示と見るのが当然といえるだろう。かつてルノー公団として国有企業であった同社が完全民営化したのは1996年のこと。いまでも最大株主はフランス政府なのである(ちなみに、日産と提携したのは1999年)。
ルノーにおける議決権を展開することで日産の経営権を握ることを狙っているというフランス政府の思惑がウワサされるが、それに対して強く反対、日産の独立性を維持していることで知られるゴーン体制。
今回の株主総会における一件は、単に役員報酬の問題ではなく、ルノーの株主にとって都合のよいCEOであるかどうかを暗に問う議題であったのではないだろうか。すぐに動きがあるとはいえないだろうが、フランス政府を筆頭とするルノー株主とゴーン体制の駆け引きから目が離せないといえそうだ。