余裕があれば買って保管しておくのもアリ
最近はクラシックカーの価格上昇が顕著になっている。すでに1億以上の価格での取引実績があるトヨタ・2000GTはもちろんのこと、第1世代の日産・スカイラインGT-R(ハコスカ、ケンメリ)やマツダ・コスモスポーツもすでに一般庶民では手が届かない価格にまで高騰しているというのが現実だ。
最近では空冷ポルシェの高騰も記憶に新しいところ。そこで、今回はまだまだ買えない価格ではないけれど、今後車両価格の高騰が予想される車種をピックアップしてみよう。
・日産・スカイラインGT-R(R33型)
現在、価格が高騰し始めているR32型のスカイラインGT-R。これは、アメリカへの輸出が解禁になったことが密接に関係していると言われている。もともとクルマに対する安全基準が厳しいアメリカでは、アメリカ国外から車両を輸入する際に、基準を満たしているかどうかを判断するために衝突実験などをしなければならない。しかし、車齢25年以上のクルマに関してはそれが免除されるため、89年デビューのR32GT-Rが盛んに輸出されているというわけだ。
そうなれば、まもなく輸出が解禁となるR33GT-Rにも、当然のように輸出業者が殺到することが予想される。当時、日本国内では「大きくなりすぎた」と揶揄されたボディも、アメリカ人の体格からすれば好都合かもしれない。
・ポルシェ911(996型)
前述の通り、空冷ポルシェは先に価格が高騰した964型はもちろんのこと、最後の空冷となった993型もビックリするような価格が付けられている。一方、初の水冷となった996型では、今のところ中古車店でのプライスタグは常識的な範囲に収まっているように見える。
新車当時は1700万円前後だったターボモデルも800万円台で狙うことが可能であり、カレラであれば200万以下のものも多数見つけることができるだろう。すでに15年前後は経過しているとはいえ、運動性能は未だ一線級のポテンシャルを秘めているし、なんといってもポルシェという響きはクルマ好きであれば響かないはずもない。
そして、911の歴史の中で「初めて水冷エンジンを搭載した」というターニングポイントは後々大きく評価されるであろうポイント。そういう意味でも996型のポルシェは今後、その価値が見直されるクルマと言えるかもしれない。
・ホンダ・シビック タイプR(EK9)
大衆車であるシビックに、レーシングエンジンと見まがう超高回転型の専用エンジンを搭載した初代シビックタイプR。現在の排ガス規制では当時のような超高回転型NAエンジンの復活は難しいだけに、やむを得ない部分もあるが、最新型が1.9mに迫るワイドボディに2リッターターボエンジンと、初代と同じクルマとは思えないほど変貌してしまったことにより、軽量コンパクトな初代モデルへの注目が集まりつつある。
・ユーノス・ロードスター
このクルマが出なければ、メルセデスベンツ・SLKやBMW・Z3などのオープン2シーターは登場しなかったとも言われているほど、他メーカーに大きな影響を及ぼした初代ロードスター。新型となるND型が原点回帰と言わんばかりに小型軽量に立ち戻ったことからも、同じコンセプトで生まれた初代モデルに再び注目が集まりつつある。
・番外編 普通の実用車
このような企画の場合、どうしても注目されやすいのはスポーツモデルであるが、値上がりという側面でみると、普通に生産され、販売され、ひっそりとその役目を終えて資源となっていく、「なんでもない実用車」というのも見逃せないものなのだ。
なぜなら、そういった実用車はある一定期間を経過してしまうと、ほぼ値段がつかない状況になり中古車市場には流れなくなる。そうなると、海外に輸出されていくか、解体され資源となる運命をたどり、国内に現存する台数が減っていき、気づくとどこにもいない存在になってしまうのだ。
そうなると、ごく少数生き延びたクルマの価値が見いだされ、意外な値段が付くことも……。もちろん、ポルシェのような高騰は期待できないが「査定ゼロ」のようなクルマでも、根気強く維持し続ければ化ける可能性もあるということも覚えておいていただきたい。