ホンダは電気と水から水素を作るシステムも販売
ホンダが掲げる将来の水素社会に向けたコンセプトに、「つくる・使う・つながる」というものがある。
メディア向けの試乗会では、「つくる」に当たる「スマート水素ステーション(SHS)」が紹介された。これは水と電気を供給すると水素を生成するユニットだ。コンテナぐらいの大きさで、1日に1.5kgの水素を作り出し、14kgまで貯めておくことができる。このSHSはプライベートユースとして水素を使うことを考えた装置で、購入することができる。ちなみに補助金を抜いた自己負担は3〜4千万円程度とのこと。
残念なのは現時点で35MPaでしか充填できないこと。簡単にいえばトヨタ・ミライやホンダ・クラリティFUEL CELLに水素を充填しても満タンにならず、約半分しか水素が入らないのだ。
「つながる」はPOWER EXPORTER 9000を含む、外部で給電できる機能だ。ホンダ・クラリティFUEL CELLはチャデモ端子を装備していて、水素燃料電池で作り出した電気を外部に取り出して使える。POWER EXPORTER 9000を繋げば、直接電気製品を接続して使用できるし、家庭にEVパワーステーションがあるならば、自宅で使う電気をホンダ・クラリティFUEL CELLから供給することもできる。水しか排出しない水素燃料電池車だけに、室内にクルマを置いて発電しても身体に有害なことがないので、災害時の避難所などでも、場所を選ばず電気を供給できるのだ。
ホンダによれば、リースで情報を集めつつ1年後ぐらいを目処に一般販売したいとのこと。水素ステーションがもっとも充実している東京の都心にあるWEBCARTOP編集部でさえ、トヨタ・ミライを使っていて水素ステーションの営業時間の短さ等で頭を悩ませている。
そう考えればホンダが闇雲にトヨタをライバル視して追随するのではなく、「まだ一般には売らない」という判断は素晴らしい。一方トヨタが先行して販売することで水素社会をけん引するという考えももちろん賞賛できるものだ。両メーカーとも、自らの利益というより、環境に優しい水素社会をチーム日本が作り出すという観点に立っているのだろう。
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