対象は三菱自動車のekと日産自動車のDAYZの62万台!
三菱自動車がJC08燃費について不正を行った。対象車種は2013年6月発売の『eKワゴン』と兄弟車種である日産『デイズ』となる。当時、軽自動車の燃費競争は激化しており、ライバルより良いカタログデータを実現することが強く求められた。実際、eKワゴンもデイズも、クラストップの29.2km/Lを達成している。
試乗した時に感じたのは「驚くほど遅い」。アクセル開けた時の反応が鈍く「燃費を追求した結果こんな走りになってしまったのか」というもの。その時の三菱自動車の技術からすれば、少しばかり厳しい燃費目標だったかもしれない。おそらくJC08モード燃費を計測する際も、基準となる速度を出しながら燃費を確保するのに苦労したと思う。
ちなみに当時の三菱自動車の開発チームは、日産と組んで軽自動車会社を立ち上げ、販売を伸ばすためも三菱自動車と日産のTOPから強い燃費目標に対するプレッシャーを受けていたことは想像に難くない。結果、実力以上に高い目標値を設定し、達成出来なかったため「やってはいけない手段」を使ったということである。
具体的な不正の内容だけれど、燃費と排気ガス計測を行うJC08モードの台上試験の時に上乗せするタイヤの転がり抵抗と空気抵抗を実際の数字より小さくしたというもの。台上テストはスポーツジムにある『エアロバイク』のように車重相当と、タイヤの転がり抵抗、空気抵抗を掛けて行う。この抵抗が7%くらい違っていたそうな。
違いを発見したのは日産で、社内計測のデータと三菱自動車のデータが合わなかったため、問い合わせたところ発覚となった。もちろん7%も違うと台上試験でハッキリした燃費の差になる。実用燃費になると微々たる違いかもしれないけれど、業界的には絶対やってはいけないこと。悪質だと言われても反論出来ないだろう。
もっと厳しいのは、エコカー減税のボーダーラインを超えてしまう車種やグレードが出てしまう可能性大きいということ。届け出値を低くすることになれば、減税分を返却しなければならなくならない(本来はユーザーが支払う税金ながら、三菱自動車が負担するということになろう)。この点に対する責任も問われる。
ちなみに現在の三菱自動車は相川社長ながら、今回対象になるモデルは益子社長の肝いりプロジェクトだった。相川社長からすれば「全く知らなかった話」という可能性も大きい。いずれにしろ燃費不正を行ったとなると社会的なバッシングを受けること間違いなし。三菱自動車はこの手のスキャンダルが多すぎるように思う。