V6エンジンの濃密なフィールも捨てがたい
ディーゼルモデル以外にも、3リッターV型6気筒スーパーチャージド・ガソリンエンジンを搭載するトップモデル「XF S」(車両本体価格:1105万円)と「XF R-Sport」(車両本体価格:969万円)も試すことができた。基本的に両車ともエンジン本体は変わらないが、セッティング変更等によりXFS=380ps/6500rpm、XF R-Sport=340ps/6500rpmと最高出力が異なる(最大トルクはともに450N・m/3500rpm)。
どちらのモデルも「スーパーチャージャー」で過給されていることをほとんど感じさせず、まるでV8のNAエンジンのように目の詰まった濃密な回転フィール。スーパーチャージャー特有の作動音もまったく耳には届かない。普段は粛々と振る舞い、高回転までエンジンを回せば思わず「コレは気持ちいい!」と言葉が出てしまうほど官能的な加速が手に入る。
ボディおよびシャシーはスーパーチャージャーによる後押しにもシッカリと耐えてくれるだけのキャパシティを備えているし、なんだったら「もっとパワーがあっても大丈夫ですけど?」と言わんばかりの頼もしさを備えている。
最後に。走りの質感同様、このクラスのサルーンに求められるインテリアにも触れておこう。ドアを開けてシートに腰を下ろすと、エンジン始動用のスターターボタンが毎分72回の間隔で点滅する。
これは、車名の由来でもある大型ネコ科動物「ジャガー」の心拍数と同じとのこと。エンジン始動後、ダイヤル式のシフトがセンターコンソールから「せり上がって」くるのはジャガーの流儀。ただし大きな変更点として、今回のXFからドライバー正面に位置するインストルメント・クラスターがデジタルの12.3インチTFT液晶に改められた。
スピード/タコメーター表示はもちろん、スイッチ操作でフルスクリーンの3Dマップビューに切り替えることも可能で、4種類のグラフィックテーマを選択することができるようになった。また、センタークラスターには10.2インチの静電気タッチスクリーン式インフォテインメント・システムを装備。解像度1280×542ピクセルで、システムにはIntel Atomプロセッサ(4コア)を搭載。
従来はDVD方式のカーナビゲーションシステムを採用していたが、今回のモデルからHDDを飛び越してSSD60GBへと進化した。さらに、静電容量式タッチパネルを採用することで、スマホやタブレット同様、指でスワイプ/フリック/ピンチイン・アウト(2本指でつまんで開閉)といった操作が可能となっている先進のシステムだ。
ジャガーとしての伝統と格式を継承しながら、アルミモノコックボディや新開発ディーゼルエンジンの投入、先進のエンタメシステムを搭載した新型XF。スポーツモデルのF-TYPEや最上級モデルのXJ同様、XFも新世代ジャガーを名乗るに相応しい「ハイパフォーマンスカー」としての素性を備えていていると感じた。