1986 Audi Sport Quattro RS002 スポーツAWDの元祖が提案したグループS
ラリーフィールドにアウディが持ち込んだスポーツAWDというコンセプトは、やがてはWRCマシンの必須アイテムとなっていった。そして同様にランチアが広めたMR(ミッドシップ・エンジンの後輪駆動)と融合し“ミッドシップにエンジンを搭載したAWD”がWRC(のグループBカテゴリー)におけるスタンダードとなっていった。スポーツAWDの元祖であるアウディはフロントエンジンのままながら重量配分を適正化し、またホイールベースを切りつめたり、とラリー・クワトロS1を極限までチューニングしたがやはり限度があった。そこでアウディは、グループS構想に則ったニュー・ウェポンを開発した。それがスポーツ・クワトロRS002。パイプフレームのミッド部分に5気筒20バルブの2.1リッターターボエンジンを搭載。
500馬力の最高出力は、樹脂製カウルを纏った軽量なラリーカーには充分過ぎるものだった。プロトタイプは完成したもののしかし、アクシデントが続いてグループBと、グループSの構想が消滅、スポーツ・クアトロRS002は実戦デビューを前にお蔵入りとなってしまった。アウディの公式記録によると生産台数は僅かに1台。インゴルシュタットのアウディ本社に併設されたアウディ博物館と、やはりドイツはジンスハイムにある自動車技術博物館でも展示されていた、とも伝えられるが、訪れた際には展示されておらず、いまだ出会えぬままアウディの広報写真を掲載(協力:アウディ・ジャパン広報)。
1985 Toyota 222D Gr.S FRを極めたトヨタが考えたミッドシップ4WD
スポーツAWDの元祖であるアウディが、フロントエンジンのAWDを究極まで突き詰めた末の、次の一手がスポーツ・クアトロRS002だったのと同様に、グループBをFRのセリカTC(ツインカム)ターボで戦い、FRを究極まで突き詰めたトヨタの、グループSカテゴリーにおける次の一手となったマシンが222D。