〈ヴェゼル〉
クルマが軽いのに加え、ケース剛性の高いダンロップ製スタッドレスタイヤとの相性がよく、滑ってからのグリップ回復が不思議なほど早い。冬期路面はタイヤが滑るのは仕方ないとして、そこからの回復が早いと、安心感も安全性も高まる。
気になるのは滑り出すまでのフィーリング。4WDはメイン駆動のフロントタイヤが空転を始めると、受動的にリヤタイヤが駆動を始めるタイプとなる。これは信頼性が高いし動きが掴みやすいものの、リヤタイヤが路面を掴みクルマ全体のドシッとした安定感が得られるまで時間がかかる。
安定感を得る前に滑ると若干唐突感があるし、強くブレーキ制御が入るためタイヤの滑りが誘発されるケースもあった。また、リヤ駆動が弱いためか、凍ったわだち路でほかのモデル以上に走行ラインが左右にずれるケースが多いのも気になる。
〈CX-3〉
注目は登坂路スタートのよさだ。ディーゼルエンジンが生み出す余裕のトルクによるジワッとした動き出しに加え、登坂の傾斜角の読み取り能力が高いからだろう。多少は滑るが、空転しながら絶妙にグリップを探り当てるかのように登っていく。
また、走行中も各種センサーからのフィードバック制御が緻密で賢いのもマル。エンジントルク制御と前後トルク配分制御、そして各車輪ブレーキ制御を使って、クルマの動きをドライバーの意思にはめ込むような感覚がある。タイヤが滑る前から徐々に制御され、ドライバーのテクニックが必要とされない状況にできている。
リヤタイヤが滑る直前にロックモード4WDになるかのような動きとともに、明確に安定性が上がり滑らせない、といった具合だ。しかも、そんな限界領域でハンドルを切り込んで曲がりたい意思を見せると、今度はブレーキ制御を使って物理法則を無視するように曲がり込める。広場でクルマを振り回して遊ぶには制御が賢すぎてつまらないが、実際の走行ケースに当てはめると安心できる賢い制御といえる。